オークだと罵られるデブ男は愛する天使と呼ばれる美女の為に本気出す!〜時空を操るデブ少年の恋愛譚〜
ネリムZ
貴方はどんな時に本気を出しますか?/僕は愛する人の為に出します
僕は産まれた時から太っていて、成長と共にその体型も大きくなって行く。
僕の家は公爵家で皇帝が開く帝国の誕生祭にて、僕は他の貴族から『オーク』と呼ばれるようになった。
オークとは豚のような顔に太った体型でなんでも喰らう魔物だ。
僕は罵られて助けを求める為に父親の所に行ったら父親は僕を避けるように場所を移動した。
母親は4歳の妹と留守番、兄⋯⋯は話し掛けてくれたが他の貴族令嬢に捕まってどっか行ってしまった。
僕は宮殿の庭に出た。
カラフルな花に心が穏やかになる花の匂いが僕の荒んだ心を癒して行く。
そこで僕はとある女の子に出会った。
鼻歌を歌いながら花をクルクル回して椅子に座って足をブラブラしている。
銀髪で
「ん?」
「あ、すみません」
ジロジロ見てしまったと僕は目を逸らすが女の子は話し掛けて来る。
「君もお花を見に来たの?パーティ疲れた?」
「あ、まぁ〜」
そんなはっきりと「はい」なんて言えない。
皇帝の開いたパーティに疲れを感じたなんて僕が言える訳ないのだ。
「なら、こっちに来て一緒に見ようよ!」
「え、ですが⋯⋯」
「良いの」
女の子は僕の手を引っ張って椅子に座らせた。
「貴方お名前は?」
「あ、ぼ、僕の名前はキリア・アザトースって名前です」
「アザトース?あ、もしかして公爵家の?」
「左様です。お詳しいですね」
「私賢い子だもん」
えっへん、と胸を張る女の子に微笑しながら色々と話して行く。
「キリアとお話するの楽しい!」
「ありがとうございます」
「キリアってなにか好きな事ある?」
「はい、あります。僕は自分の『真理』を妄想するのが好きです」
「『真理』を?どうして」
「色々と妄想して、その中の1つになるとどのように過ごすのか考える事が出来るからです」
「ん〜よく分かんない」
「あはは、僕も言ってみてよく分からなくなって来ました」
「来年もこのパーティに来るの?」
「そうですね。伯爵家以上の爵位の者は5歳からこのパーティに参加義務が発生しますので来ますよ」
「なら、またここでお話しよ!あ、でもキリアもパーティ楽しみたいよね」
しょぼんとする女の子に僕は考える。
どうせパーティに出ても罵られるだけだ。
筋肉を付けようと毎日3キロ走り腹筋50回しているから体力等はあるが⋯⋯この体型はこのままだった。
ある意味呪いかもしれない。
「問題ないです。僕もお話、楽しかったです」
「ほんと!約束だよ!約束破った人は死刑だってお父様言ってたからね!」
「はい」
こっわ。
それ多分『約束』ちゃうよ『契約』や。
かなり重大な契約の場合や。この子の父親は何を教えているんだか⋯⋯。
突然だが『真理』の説明をしよう。
『真理』とはこの世の全人類が10歳になると利き手の甲に紋章が現れる。
その紋章によって人は自らの道を決めていく。
例えば鍛冶が得意になる『真理』の紋章を得ると、鍛冶の知識や使える能力が分かる。
『真理』は使用者と共に成長していき、進化したりもする。
そして、基本的な『真理』は人生を決める1つの道であり、絶対的なモノではない。
中にはユニークと呼ばれるその人だけの特別は『真理』がある。
判別方法は紋章に自分の名前がうっすらと刻まれている所から判断する。
ユニークの『真理』は特異な力を持っており、『真理』によって価値観の変化がある人も居る。
『真理』に呑まれた人は落ちぶれる運命となる。
だからこそ人は『真理』と向き合い、共に歩む事を絶対に必要な常識としている。
1年後〜
今回から妹と参加した母親。
僕は1年前の約束を果たしに庭に行く。
「あ、見つけた!」
背後から飛びついて来た女の子に僕は驚く。
我が体重は女の子の飛びつきではビクともしない。⋯⋯なんか悲しい。
「約束守ってくれたんだ!」
「ええ、僕は約束を守る男の子ですから」
「そっか〜前の所に行こ!」
女の子に連れられて前回と同じ椅子に座る。
それから女の子とお話を始める。
「あ、私の名前言ってない!」
「そうですね」
「も〜速く言ってよ!一方的に教えて貰っているだけじゃ〜ん」
口を尖らせてそう言ってくる女の子。
「では、教えて頂けますか?」
「勿論だよ!私の名前はウリエ・ミサーナだよ」
「⋯⋯」
「どうしたの?」
「ぼ、僕少し用事を思い出しましたので、今回はこの辺で⋯⋯」
「えぇ〜、来年も来てくれる?」
「む、難しいかもしれません」
「そ、んな〜」
俯くウリエに僕は踵を返してパーティ会場に戻った。
ウリエ・ミサーナ、このミサーナって部分が重要だ。
この帝国はミサーナ帝国、ミサーナの名を許されるのは皇帝の血を引く者のみ。
つまり、ウリエはあの女の子は皇族なのだ。
そんな人と『オーク』と罵られている僕と一緒に居てはダメだ。
ウリエの格が落ちてしまう。
それから数ヶ月が経った。
妹、とゆうか家の家系で僕だけがこの太った体型となっている。
「兄様あーそーぼー!」
最近妹が活発になり良く遊んでいる。
今でも痩せるために毎日の走りと腹筋はやっているのだが、痩せる兆しは僕を照らさなかった。
妹との遊びは鬼ごっこだ。
「悪いがそれはあとだ。行くぞ」
「ん?今日なにかありましたか?」
「お前ももう7歳だ。7歳からは皇帝様の誕生会に参加する。準備しろ」
「あ、はい」
僕は使用人に服を替えられて、馬車に乗って皇帝の誕生会に出向いた。
そこでは皇帝や皇后、その息子と娘、そしてウリエが居た。
ウリエは僕を見つけると少し笑顔になったが、僕が顔を逸らすと俯く。
そして誕生会が始まった。
王女や王子の元には色々んな貴族が集まり、子供話させて居た。
政治絡みの狙いがあるように感じる。
「おい、オーク邪魔だ」
「すみません」
僕は違う公爵家の息子に邪魔だと言われた。
僕は逃げるように庭に向かった。
僕は椅子に座って花を眺めていると、後ろから声が掛けられた。
「キリア、こんにちは」
「ウリエ様、ご挨拶痛み入ります」
「そ、そんなに畏まらないでよ。前みたいにお話しよ?」
「すみません。僕は⋯⋯」
「キリアは私が嫌いなの?私と居るの嫌なの?私とお話するの嫌なの?」
「いえ、そのような事は」
ウリエは半泣きになる。
「どうして私を避けるの?」
「それは⋯⋯」
「オークって呼ばれているから?」
「⋯⋯ッ!」
「わ、たしは気にしない!寧ろ容姿をバカにするのはおかしい!私キリアともっとお話したい!ダメかな?」
「⋯⋯いえ」
僕はウリエの言葉に救われた。
1番自分の容姿をバカにしていたのは僕自身だ。
だからこの言葉は僕の心を動かしてくれた。
この日からこの宮殿に呼ばれる度にここに来てはウリエと話していた。
そして、ついに僕は10歳となった。
2歳差の妹は今日で8歳である。
誕生日が同じなのだ。
「
これが僕に与えられた『真理』なようだ。
青色の紋章で僕の名があるのでユニークで、時計の針のようなモノがあり、色々と能力が頭に浮かんでくる。
「これは、使い辛いな」
使うタイミングが限られた能力が多いがめっちゃ便利な能力があった。
「亜空」
とある空間の裂け目が出来る。
この空間の中に道具等をしまえ、この中は時が止まっいる。
便利な事この上ないだろう。
さて、ウリエは僕よりも後な筈で、実は建国の日なので建国祭の際に見せて貰える事になっている。
「兄様兄様!ユニークです!凄いです!わああ!」
キラキラの目で見てくる妹の頭を軽く撫でておく。
兄の『真理』は『剣』で剣の扱いに補正や能力が得られるモノだった。
『剣』の『真理』は最弱の部類に入るがハズレでは無い。
寧ろ今後の『可能性』があるので変なユニークよりかは当たりである。
『剣』の『真理』が進化してその剣の使い方が特化していく。
つまり、これは基礎であり自分の決める道が色々とある事を意味する。
そしてウリエとの10歳の再開の日。
「キリア!見て見て私ユニークだったよ!」
「同じですね。僕もユニークなんです」
「え、ほんと!じゃあ一緒に能力を1つ見せよ!いっせーのーで行くよ!」
「はい」
「じゃあ」
「「いっせーのー!」」
僕は『亜空』を使用する。
「なにこれ?」
「亜空と呼ばれる違う空間です」
「なるほど」
「ウリエさんのこれは?」
「火の塊だよ!」
熱い。ウリエはそれを解除する。
「私の『真理』は『火炎龍』ってので火の扱いに長けているんだ!」
「なるほど⋯⋯僕の『真理』は『
それから和気あいあいと話してからこの日も終える。
来年では、少しトラブルが起きた。
「おお、なんと美しい事かな。ウリエ様、どうかワタクシを貴方様の婚約者にして頂けませんか?」
年上の公爵家の人だろう。左胸にある貴族家の紋章の風景色で爵位が分かる。
金色は公爵家だ。
「すみません。お断りします」
「で、ですがワタクシの『真理』は⋯⋯」
「すまないが、我は娘の意見を尊重したい。だから、認めん」
「こ、これは皇帝様、家の息子の暴走が過ぎました。申し訳ありません」
「気にするな」
そんなトラブルの事など僕は知らなかったが。
そして15歳となって僕達は学園に通うようになった。
貴族のみが入れる清き正しい学園。
僕は入学と同時に『オーク』と広められ、先輩や他クラスにもそう伝わった。
ウリエとは他クラスとなり最近では疎遠気味⋯⋯って事は無く昼食等の時間は一緒に居る。
僕は自分でも自覚出来る程にウリエの事が好きになっていた。
体型の事を気にする事無く話し掛けてくれるウリエに僕は引かれて行ったのだ。
それから数ヶ月が経ち、学力ではそこそこ良く、魔法はともかく剣術等の武芸の才能が無く成績は悪かった。
クラスでは僕の名前を知る人は既におらず、ただ『オーク』が広がった。
僕以外に太った人は居ない。
これも『真理』の影響で『真理』によって最適な身体付きになるのだ。
だが、ユニークにはそれがない。
あくまで個人の力であり最適など無いのだ。
そんなある日大きな問題が起きた。
ウリエと仲良くしている所を見られたのだ。
それを見たのは公爵家内では1番権力の強い者だったらしく、ウリエを狙っているようだ。
ウリエは成長と共に美女になっていた。
美しい女性で『天使』と呼ばれるようになり、色んな男が声を掛けては玉砕している。
僕は自分を弁えているのでそんな事は言わない。
今の関係で十分なのだ。
だが、その公爵家に僕は決闘を申し込まれ、敗者はウリエに近づかない事を契約とし、そして逃げられないように適当な噂を広められた。
僕は考えた。あの公爵家の子は噂が良いし影響力も大きく、イケメンである。
だから僕と居るよりも幸せになってくれるのでは無いかと⋯⋯そう思ってしまう。
僕よりもその公爵家の方がウリエに似合っていると感じた。
「オークなんだぞ?逃げるだろ?」
「どうやって戦うんだよ?」
「無理無理、いや〜オークが地べたを這い蹲る様を見られる日が来るとは〜」
「いやそれ魔物方のオークとして見てない?強さが違うだろ?体型はともかく」
などすぐさま噂は広がった。
逃げるに逃げられない。
僕は決闘数時間前でベンチに座って空を眺めていた。
「ねえ、どう言う事?」
「ウリエさん」
「どうして決闘の敗者は私と近づいちゃ行けない契約が承諾されているの?」
「僕が⋯⋯醜いからですよ」
「どうして、そんなの理由になって無いじゃない!」
「ありがとうございます」
ウリエはプルプル震えている。怒り、悲しみが目に宿っている。
「私が抗議してくる!」
「辞めてください」
「どうしてよ!そんなの理不尽じゃない!私の承諾無しで!」
「そうですが」
この学園は爵位関係ない実力主義だ。表向きは。
皇帝は裏に関わるような真似はしないようだ。
「キリアはそれで良いの?もしも負けたらどうするの?」
「その時は僕が足を洗います」
「どうして⋯⋯私と居るのは本当は嫌だったの?!」
「違います。そんな訳無いじゃ無いですか」
「なら、どうして!」
ウリエは真っ直ぐな眼差しで僕を見てくる。
「僕はこの決闘を受けます。僕はウリエさんと話す事が好きです。でも、一度言われるとどうしても考えてしまうんですよ。僕よりもあの子の方が、あの子の方がって」
「私は容姿を気にしない⋯⋯」
「僕が気にするんですよ」
「⋯⋯ッ!ど、うして」
「廊下を歩く度に陰口を言われ、言われのない批難を受け、オークの詰られる。ずっと僕は気にしてました」
「そんなの⋯⋯」
「僕にはウリエさん以外にまともに話してくれる同年代はいません。凄く嬉しいですウリエさんが僕に話し掛けてくれて⋯⋯でも、負けた時はさようならです」
正直僕はこの決闘に勝つか負けるよりもウリエとこれまでと同じように居ていいのかを考えている。
『オーク』と呼ばれる僕、『天使』と呼ばれるウリエ。
僕は孤独にならなかった。だが、真正面から『似合わない』『不釣り合い』『ウリエの品を落とす』と言われるとどうしても考えてしまう。
僕はウリエも居るべきでは無いと。
「勝ってよ、絶対に勝ってよ!私、はキリアと離れるの嫌だよ」
「難しいかもしれませんね」
「⋯⋯⋯⋯ふざけないでよ!」
僕は聞いた事のないウリエの怒声に怯む。
「周りが勝手に言って、それに悩んで、まとめに『真理』も使わないで過ごして来たくせに!どうしてそんな事考えるの?周りが言うから?私1人の影響力ではキリアの心を埋めれないの?」
「⋯⋯」
「どうして半端に過ごして来て、バカにされても聞かぬフリして来た癖に、どうして、こんな時だけそれを持って来るのよ!意味が分からない!」
ウリエは涙を流しながらそう言ってくる。
「⋯⋯」
「ねぇ?なにか言ったらどうなの!図星なんでしょ!都合の良い時だけ持って来て、勝手に1人で悩んで!いつもいつも1人で悩んで悩んでどうして私を頼ってくれないの!私はキリアの中では友達じゃなかったの!」
「そ、んな事は」
「私は悲しいよ。色んな人から政治的な目で見られたり、他国では品定めするよに見られたり、この学園では1箇所をジロジロ見られたり!でも、キリアは私を真正面から見てくれる。私を個人として、友達として見てくれていると思っていたのに⋯⋯私はそれが堪らなく嬉しかった⋯⋯なのに、どうしてそんなに悩んでいるの?決闘で勝つ気が無いの?私の事、どう思っいるの?」
「僕は⋯⋯僕はで⋯⋯」
「それがただの言い訳って言っているのよ!私の思いは、無駄って言いたいの?」
「それはどう言う⋯⋯」
その後の言葉を僕は言えなかった。
涙によって頬を真っ赤にし、目が赤くなっているウリエ。
そんなウリエに僕は何も言えなかった。
「私、は。キリアの事、信頼出来る友達だって思おうとしていた。でも、キリアは私の事を友達とも思ってくれようとしなかった」
「そんな事は⋯⋯」
「なら何よ?私の事、どう思っていたの!」
「僕、は。⋯⋯⋯⋯ウリエさんのことを友達だと思っています。大切な友達。だから、ウリエさんには幸せになって欲しいと思ってます」
「私の思いは関係ないの?」
「きっと、僕と居るよりも他の人の方が後にウリエさんの為に⋯⋯」
「それは貴方の自分勝手な意見でしょ!持っと私を見てよ!」
僕はそれを聞いてハッとした。
確かに僕は自分の勝手な理想をウリエに求めていただけだと気づいたのだ。
「⋯⋯期待⋯⋯してるから」
それだけ言ってウリエはその場を後にした。
残された僕は空を見て、頬を思いっきり叩く。
痛みや悲しいや悩みは闘志に変えろ!
あそこまで言われて、あの顔を見て、ウリエさんは僕をどのように見ていたのか気がついた。
僕は鈍感だな。
学園で話す時のウリエさんの笑顔と学園の人と話す時のウリエさんの笑顔の違いや表情の違いにも気がつかいなんて。
大切な幼馴染で友達だと思って来たが、僕は自分の心と向き合う事に決めた。
その前にこの
使い難いと、危険だと思っていたの僕の『真理』の力を使う事を決めた。
決闘の会場には沢山の人が集まっていた。
僕の手には模擬戦用の短剣を持っている。
対する公爵家の子は『真理』は『剣聖』であり、長剣特化の『真理』であり、武芸成績3位の実力者である。
対する僕は武芸成績最下位である。
「じゃあオーク、お前の存在がウリエ様の邪魔になっている事を証明してやるよ」
彼は善意で言っているようだ。
「それでは初め!」
監督の人がそう言った瞬間に決闘は始まった。
「行くぜ!武技【能力向上】【能力超向上】剣技【連撃斬】聖剣技【聖なる刃】」
一気に能力を使って接近してきて剣の連撃を放ってくる。
残像が見える程の速度で剣を振り下ろされる。
「
僕は『思考能力』のみを加速させた。
高速の斬撃がゆっくりになっていく。
勿論、僕の動きが速くなった訳では無い。
この加速能力は今は『思考』とゆう概念だけを加速させているのだが、スピードを上げるには概念では無く動き、つまりは自分の体を加速させないといけない。
そうなると衰えも速くなるのだ。
使いこなせばデメリット無しで使えるかもしれないが、今は無理だ。
だから、僕がここで使う能力はこれである。
「
加速された思考の中で移動先の空間を把握し、自分の空間を把握し、空間と空間を一瞬で移動する。
「な、いつの間に」
思考加速を解いて普通のスピードになる。
思考加速は確かに強力だが自分のスピードが速くなる訳でもないし、脳が痛むのだ。
僕は模擬戦用の短剣でも相手に致命傷を与える技を持っている。
だから僕の能力の攻撃系は使い難いのだ。
「一体何が⋯⋯」
「これが僕の『真理』の力『
僕は紋章を見せる。
「ユニークらしいが、今まで使用した所を見た事がない。つまり、戦闘では使えない筈だ!」
「それは、⋯⋯ただ僕の覚悟なかっただけだよ」
だからこそ少しのミスも許されない。だから使うのを躊躇っていた。
でも、今は違う。
僕は自分の心と向き合うと決めた。だから、迷う事無くこの力を使う!
「剣技、【飛翔斬】」
斬撃が飛んでくる。
「
次元斬は空間そのモノを切り裂く能力である。
攻撃系の能力で武器の有無に関わらず空間を斬って攻撃するので一定のダメージが与えられる。
だから、危険なのだ。
斬られた空間の中に斬撃が入っていく。僕は斬った空間を元に戻す。
「な、どうして」
「
僕は公爵家の子の背後に一瞬で移動してその短剣を首筋に立てる。
「な」
静まり返る決闘場。
皆が皆、僕の勝ちを予想した者は居ないだろう。いや、1人だけは違うかもしれない。
「これで、僕の勝ちです」
「⋯⋯ざ」
「え?」
「ふざけるなぁ!お前なんかに僕が負けるかああ!」
振り下ろされる斬撃、僕は咄嗟に能力を使う。
「
僕は公爵家の居る空間のみの重力を増加させる。
地に伏せる公爵家を見て、監督は僕の勝ちを言った。
僕はすぐさま会場を後にした。
いつもウリエと昼食を共にする場所に来ている。
そこにウリエの姿は無かった。
「ハァハァ。全く移動速いよ。期待、していたよ」
後ろからそんなウリエの声が聞こえた。
僕は振り返る。
「ウリエさん」
「もう一度、聞くね?」
ウリエは体制を直して、真剣な眼差しで僕を見つめる。
「キリアにとって私は何?」
「大切な人です」
「皇族だから?幼馴染だから?」
「違います」
「え、友達だから?」
「違います」
僕はウリエの出すお題に全て否定する。
「び、じゃあなんで」
ウリエは顔を赤らめながらそう問うて来る。
僕は迷いも躊躇いも無く偽りの無い本心を言った。
僕の、大切な人に。
「僕がウリエさんの事を好きだからです」
「〜〜〜ッ!」
「だから、ウリエさんには幸せになって欲しいんです」
「考えを代えなさい。誰かが私を幸せにするんじゃなくて、貴方が、キリアがしてよ。私を幸せに」
「⋯⋯はい」
「私はキリアを」
右手の掌を下に向けて差し出してくる。
「僕はウリエさんを」
僕はそれを下から手を取る。
「「愛してます」」
2人の本心がここに揃った。
『オーク』と呼ばれる少年と『天使』と呼ばれる少女の話。
オークだと罵られるデブ男は愛する天使と呼ばれる美女の為に本気出す!〜時空を操るデブ少年の恋愛譚〜 ネリムZ @NerimuZ
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