第29話 ほのぼの?朝ごはん②
すごい。ものすごく晴れている。昨日の大吹雪がまるで嘘の様に。
朝日がこれでもかと眩しいレベルで。
と言うか二日酔いがやばい。
やっぱり何だかんだで酔っていたんだな俺。
昨日は大丈夫だったけど、普通に今は頭が痛い。
「本当にすみません。美桜もそろそろ来ると思うんで」
で、晴れているからもう大丈夫だと言うつもりだったが、時既に遅しで山本さんは迎えに来てくれた。本当に申し訳ない。
そして今はとりあえずラウンジでくつろいでもらっているところ。
やっぱり朝食はもうここで皆で食おうかとも思っていたんだけれども、山本さんが他で既に行きたいところがあるみたいだから結局やめた。
それにしても、美桜にもあの部屋見せてやりたかったな。でも、まぁアイツほどの女なら既にああいう所も何だかんだで泊まったこともあるか。
とりあえず、美桜も駅まで山本さんに送ってもらうことになってるからそのことも伝えないとな。
あと、ここラウンジも本当に広いな.....って、ようやく来たか。
「おはよ、修平。今日これから......って、だ、誰?」
「あぁ、おはよ。美桜。こちら隣人の山本さん」
「え? いや、え? ちょっとわかんない。戸田さんでもなく山本さん? また新しい人? え? 隣人?」
「あぁ、隣に住んでる山本美貴さん。俺たちのこと心配して昨日の夜に迎えに来てくれることになって」
「どうも。森高さんにいつもお世話になっている山本です」
いや、いつもお世話になっているのは俺の方だ。
「ど、どうも修平と昔から仲良くさせてもらっている米倉美桜です」
まぁとりあえず、そろそろホテルから出るか。山本さんも仕事明けで疲れているだろうし、早く朝ごはんに行って眠らせてあげたい。
「ふふ、美桜さん。すごくお美しいですね。ちょっと嫉妬しちゃいます」
「そ、そっくりそのままそのお言葉はお返しします」
でも、二人ともニコニコと朝から微笑ましい光景だ。良かった。晴れてくれて。
「駅まで送って行きますので美桜さんも乗っていってくださいね」
「いえ、結構です。普通に歩ける距離なので」
「本当ですか? どうせ駅前は通りますし私は本当に遠慮してもらわなくても大丈夫ですよ」
「ち、ちょっと用がありますので」
「そうですか。それは残念です。じゃあ私たちは直接このまま朝ごはんに行きましょうか?」
「え? あ、朝ごはんですか? 二人で? どこに?」
何だ? またちょっと美桜の笑顔がひきつっている......?
「はい。昨日の夜に森高さんと約束していたんです。場所はある程度決めてますが、後は森高さんの今日の気分で決めてもらおうと思ってます」
「へ、へぇ......」
「でも、美桜さんともご一緒したかったのですが、用があるのなら厳しいですよね。本当に残念です。」
そして山本さんの方は可愛らしく落ち込んでいる様子。本当に改めて良い人だと思う。ここまで初対面の美桜にまで気づかってくれて。
「すみません。でも、その私の用って言うのがここでもう朝食の予約をしてしまってまして。もうお金も払っちゃってるんですよね」
「え? 俺のも?」
「もちろん。ちょっと想定とは違う結果になったけど。色々と考えてね」
ん? 色々?
まぁ何でも良いけどマジか。先に言って欲しかった。
「とりあえず、さっきの話の流れ的にそっちは予約とかはしていないみたいですし。やっぱりここでご一緒しませんか? 山本さん」
でもそうか。予約をしているのか。
「ふふっ、キャンセルは無理ですけど、追加はできそうですし奢りますよ。私」
それにやっぱり別にひきつってないな。目に映るのは普通に微笑むいつもの美桜。さっきのはやはり気のせいか。
「でも確かに。お金を払ってしまっているのなら仕方がないか。山本さん。すいません。俺が奢りますので何でも好きなの頼んでください。真剣に迎えに来ていただいて申し訳ないですし、本当に好きなのを」
本当に遠慮せずに。
「そ、それは仕方ないですね.....。い、いえお金は自分で出します。大丈夫です......」
って、今度は山本さんの笑みがひきつってい.....る?
何だ? 俺また酔ってんのか? 何か昨日から人の表情がおかしく見えてしまう時がある。
「ふふっ、山本さん。ここのオムレツ美味しそうでお勧めですよ」
「ふふ、そうなんですか。でも私は朝は和食派なので和食のセットにしようかな」
まぁ、とりあえず二人とも何だかんだで笑顔で楽しそうだし良いかな。
吹雪も止んだし本当に良かった。
でも土曜日か。何するかな。
あれ?確か何か予定が入っていた気が.......
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます