第26話 赤ワイン
「ん、どうかした? 修平」
何というか隣でワインを飲む美桜の姿、やはり頭の先から足の先まで、全てがものすごく絵になる。
周りの男の視線もいつの間にか肉よりもまた彼女の元へと集まっている様に感じる。
本当に、何でこんなに美人な女性に相手がいないのだろうか。
さっきからそういった男女の話を彼女の方から話題に出してくるからこそ一層、そんなことを考えてしまう。手を出してはいけない相手を好きになったと以前に言っていたが、それにしてもだ。
さっきもそろそろ本気で彼氏が欲しいとか口に漏らしていたから、その男のことはもう何だかんだで諦めたのだろう。可哀そうだとは思うが賢明な賢い判断だとは思う。
でも、だからこそ引く手あまたなはず。
改めて見てもスタイルも完璧、その綺麗に首元から肩にかけてさらりと伸びる髪も何もかもがやはり雰囲気を感じさせる。まるで芸能人にも負けないような雰囲気を。
特にそのアルコールに酔っているからであろう、ほんのりと頬が赤くなってしまっている表情はやはり色っぽいと言わざるを得ない。
「あれ? 修平は全然酔ってないの? 店員さん彼にもう一杯ワインをお願いします」
あと、どう考えてもこれも酔ってしまっているからに違いはないのだろうが、身体が密着するほどに近く......。
それにあのしっかりとした美桜がここまで酔っている姿は正直大学時代にも見たことがない。特に何だその甘える感じの猫なで声。
初めて聞いたし、さすがにちょっと普段とのギャップに俺もドキッとしてしまったりもする......。
「ねぇ、修平。今日はとことん一緒に飲もうね。修平は赤と白どっちが好き?」
「まぁ、赤かな」
「やった。一緒。やっぱワインは赤だよね。私も好き」
「そ、そうなんだ」
「うん。好き」
それにワインに対して言っていることは間違いなく理解はしているが、その表情で好きって言葉が何度も聞こえてきてしまうと、色々と脳が勘違いをしてしまいそうになる。
やばいな。今日の美桜。色々と破壊力が......。
まぁ、逆を返せばそれだけ気を許されている=男としては見られてないんだろう。
だからこそ長く友達でいれているのかもしれないけどもな。
でも、そんなことを考えてしまっている俺も何だかんだで酔ってきてしまっているのだろうか。
ただ、だとしてもだ。
すごいな。
戸田がくれたあの酔い止め薬。
正直、俺もワインは嫌いではないが。身体に合っていないのか、大学の時も会社の飲み会とかの時もすぐにベロベロに酔いつぶれてしまった記憶がある。だから何だかんだでワインの方は美桜にだけ楽しんでもらって俺自身は我慢しようと思っていた。
でもこの場所の雰囲気と美桜の勧めに流されてつい1杯飲んでしまったらあれよあれよと何杯も......
本来なら間違いなく既に確実に酔いつぶれて我を失っているのであろう。
とりあえず、どこのメーカーの薬か改めて戸田に月曜日にでも聞こう。効きすぎ。あれがあれば酒をいくらでも飲めてしまう。すげぇ。
酔ってきたかも知れないとは言え、全然意識もはっきりとしている。
さすがに両方がベロベロに酔いつぶれるのはやばいし何だかんだでナイスだな。あいつ。素直に飲んでおいて助かった。
「あ、この赤ワイン美味しい。ほら、修平も飲んで。ちょっと味見させてあげる」
でも今考えたら、顔には昔から今みたいに赤くなったりして出ていたかもしれないけど美桜って酒豪とか呼ばれていた記憶があったりなかったり......?
サークルでも確か先輩とかにいくら飲まされても中身はいつも通りで全く酔ってなかっ気が.....。止めに入った俺が恥をかいたことを思い出した。
それが何だ今の美桜のこの見るからにお酒に酔っている感じ......
いや、まぁ、まだ若いとは言え大学の頃とは色々と違うか。仕事も大変だろうし身体の疲れ具合とか精神的にもかなりの疲弊しているのだろう。
やっぱり美桜も大変なんだな......
って、何だ?美桜。 そんな不思議なものを見る様な顔で俺の事を覗き込むように?
ん? あれ?
って、気が付いたら窓の外......
ものすごく雪が吹雪いて......いる?
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