第17話 ほのぼの昼休み

 冬のカキフライ弁当、美味うまし。

 タルタルソースは神の造ったソース。


 そんなことを考えながら昼休みにデスクでスマホをスクロールする俺。

 そして見ている画面には肉厚のステーキの画像。

 どのコースにしようか迷うところ。

 どうせなら金のことは考えずに豪勢にいきたい。

 それに金曜の夜だろ? 少々無理しても大丈夫だろう。柄でもないかもしれないが、ワインも悪くはないのかも知れない。

 確か、大学の頃もまさに見た目通りだが、あいつは酒よりもワインが好きだった記憶があるしな。いや、でもな.....


 「あ、何っすか。それ。カキフライ弁当? めっちゃ旨そうですね。どこのっすか? いくらっすか?」

 「そこの定食屋のテイクアウト。500円」

 「まじっすか。やっす。羨ましいっす。うち何かもう毎日これでさすがに飽きてきましたわ」


 いや、飽きたって......愛妻弁当だろ。それ。

 おい後輩。無言ガッツポーズの次は何だ。

 これもフォローのつもりでしているのであればまた大間違いだぞ、おい。

 それとも単純に煽られてる? 俺、後輩から煽られてる?

 

 「殺すぞ」

 

 でも、美桜。本当に綺麗になっていたな......。

 いや、元々綺麗だったことは間違いないんだけど。あの周りの視線を一点に集める感じ。昔以上だった。

 見た目的には高飛車にみられがちだが、実際に関わると全くそんなことはなく、むしろどんなしょうもないことであっても楽しそうに笑ってくれる。そこも全然変わっていなかった。


 でも


 思い返せば、出会った頃は向こうの勘違いもあってだが、ものすごく仲が悪かったんだっけ。俺たち。

 それがよくここまで仲良くなれたと思う。

 この前だって実際に顔を合わせたのは5年ぶりと超久々だったけど。あの頃みたいに元気をもらえて助かった。

 

 そうか......

 明るいし一緒にいると元気がもらえる......。

 俺は架純にとってそんな存在にはなれていなかったのかもな......


 「え? しかも何っすか。そのスマホの高そうな鉄板屋。誰と行くんすっか?」

 「あ? 大学時代の友達だよ」

 「え、俺とじゃないんっすか?」


 むしろお前とだけは絶対にない。お前とだけはな。


 「ところで、その友達って男っすか?女っすか? どっちっすか~」

 「あ? さぁな」

 

 う、うぜぇ。何だまたニヤニヤと


 「森高さんも隅に置けないっすね。さすがっす」


 で、止めろ。またそのガッツポーズ。

 しかもそんな大きな声で。

 まぁ、別にそれでどうこうなるわけではないけどもだ。

 

 「いや、そんなんじゃねぇから。ただの友達だから」


 でも、金曜は深夜から朝にかけて吹雪の可能性あり?

 やばくないか? いや、絶対にそれまでには解散しているし問題はないのか。


 それにネットの天気予報なんてそもそも当てにならないことも多いしな。

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