シーン7-4/決戦、クマモノ
★戦闘配置(ゼノ視点)
敵陣エリア
配置なし
前線エリア
クマモノ
ゼノ
自陣エリア
ディーチェ
★セットアッププロセス/2ラウンド目
★先攻陣営のメインプロセス/2ラウンド目
もはや作戦も何もない。クマモノの連続攻撃を一身に受け、俺の【HP】が更に減少していく。このまま戦闘不能状態まで追い込まれる……そう思っていたのだが。
【HP】計算
ゼノ:26/49 → 2/49
クマモノの出目が絶妙に腐り、首の皮程度の【HP】が残る。全員の痛みに晒される俺の耳に、ディーチェの声が飛び込んできた。
「くっ、他に手はないわね――ゼノ。"あれ"を使うわ!」
「"あれ"? って……お前、まさか」
「切り札は最後まで取っておくもの、でしょ。大丈夫、もうこれ以上ないってくらい悪い状況だもの。きっと上手くいくわよ」
不敵に笑い、天高く右腕を掲げるディーチェ。かざした手の上に、輝きを放つ2つの立方体が出現する。
「我が権能をここに! 回れ、走れ、切り拓け!!
《運命のダイスロール》――ッ!!!」
ディーチェの詠唱と共に勢いよく打ち出された2D6が、光芒を引いて回転する。
「諦めない。諦めるもんですか! ようやく始まったばかりの大冒険を、そう簡単に諦めてたまるかってのよ――!」
魂の叫びは、果たしてダイスに届くのか。祈るような思いで見守る俺達の視線の先で、ダイスロールが完了する。
《運命のダイスロール》 → 2[出目1、1] →
「…………」
「…………」
ファンブル。大失敗。この状況から更に悪い事が起きるらしい。
もはや運命の沙汰を震えて待つしかない俺とディーチェ。しかし、その時間は長くは続かなかった。
絶対零度まで凍り付いた空気を打ち破るように、戦場に叫び声が響く。
「う、うぅ……うわぁぁぁあああ――ッ!!!」
驚きと共に絶叫の出処を振り返ると、木陰から飛び出したクルトが、お頭さんから受け取った短剣を振りかぶる姿が見えた。
「俺だって、俺だって諦めるもんか! 俺だって! 冒険者になるんだ――!」
蛮勇とも思える行動を起こした少年の頭上には、輝く判定のダイスロール。
データを持たないエキストラが、どうやって判定を発生させたというのか。驚きに目を見開く俺の脳裏を過ぎる、山賊団の言葉があった。
『ヘッヘッヘ。言っておくが盗品じゃねぇぞ。俺の……昔の相棒さ。手入れはしてたから、問題なく使えるはずだぜ』
『ヒッヒッヒ……いいんですかい、お頭?』
『フッフッフ……その短剣、魔法の効果まで付いてるってのに』
データ持ちのお頭さんが使っていた魔法効果付きの短剣――形状や説明、お頭さんの実力から、ルールブック掲載アイテム「マジックダガー」で間違いないだろう。
マジックダガーに付与された魔法効果は、命中判定の達成値増加。つまり、効果を適用するためには判定を行ない達成値を求める必要がある。
エキストラが魔法の武器を扱う整合性を取るため、データが付与されたとしか考えられない。クルトの勇気と、お頭さんの気配りが、この土壇場で奇跡的に噛み合って結実したというのか。
「いっけぇぇぇ!!!」
気合いの一声と共に投げ放たれた短剣。クルトの判定ダイスの出目は高く、短剣の魔法効果も相まってクマモノに防御を許さない。
「ガァアアア――ッ!」
過たず、短剣はクマモノの右眼に突き刺さった。苦痛と怒りの咆哮が響き、短剣の命中によるダメージロールで敵の【HP】減少が発生する。
【HP】計算
クマモノ:【HP】49/70 → 44/70
「おお、やるじゃないクルト! 投げ物が得意って言ってただけあるわね!」
「へへ、あんがとな! ゼノの兄ちゃん、ディーチェの姉ちゃん! 今のうちに!」
「ガルルル……!」
クマモノの隻眼が、クルトを憎悪の視線で射抜く。完全にクルトを敵として定めたようだ……って、この流れは不味くないか?
★戦闘配置(ゼノ視点)
敵陣エリア
配置なし
前線エリア
クマモノ
ゼノ
自陣エリア
ディーチェ、クルト(New!)
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