シーン7-5/決戦、クマモノ

★戦闘配置(ゼノ視点)


敵陣エリア

 配置なし


前線エリア

 クマモノ

 ゼノ

 

自陣エリア

 ディーチェ、クルト(New!)



 戦場を構成するエリアに、新たに行動済み状態のクルトが参加してきた。つまり、クルトに敵の攻撃が向かう可能性があるという事態に他ならず。

 もしここで全滅したら、クルトも逃げ出す余地なく纏めて一緒にあの世行きという結末になるのではないか?

 え、これヤバくね? 俺が倒れたら後衛が蹂躙じゅうりんされる流れじゃん。



★後攻陣営のメインプロセス/2ラウンド目



「う……うぉおおお――!!!」

「ゼノが吠えた! っていうか回復しないの!?」


 マイナーアクションで《三景の型》を構え、「月の剣閃」の付与によって攻撃力を上昇させる。

 回復アイテムを使っている余裕などない。どうせ次に攻撃を受ければ、回復した分の【HP】も纏めて吹き飛ばされるだけだ。


「ここで倒さないと俺が落とされて前線崩壊だ! そうなったらマジで詰む! 少しでも多く火力を出して、このラウンドで削り切るしかない!」


 判定の出目が走り、クマモノに攻撃が命中する。隻眼になった事で、クマモノの【防御行動力】判定にマイナス修正も入っているようだ。

 内心で祈りつつ、刀を大上段から振り下ろす。ダメージロールの出目は悪くない。しかし、これでクマモノを仕留められるかとなると――。


【HP】計算

 クマモノ:【HP】44/70 → 23/70


「くそっ! 押し切れない――ッ!」


 渾身の唐竹割りがクマモノの肩口を派手に斬り裂くが、致命傷には届かない。最初のダメージが低すぎたのが悔やまれる。目の前が真っ暗になるとは、こういった状態を言うのだろうか。


「ここまでやって……駄目、なのか……」


 もはや意地だけで刀を握っていた手から、ゆっくりと力が抜けていく。

 次のラウンドで俺が倒れる。後衛に残ったディーチェとクルトは、クマモノの連続攻撃に耐えられないだろう。

 絶望と諦観。無力感に包まれ、視界が滲む。


「ちょっと、何を諦めてるのよ」


 そんな俺の隣から、聞き慣れた声がした。

 目を向ける。いつの間にか……ディーチェが、前線エリアに立っていた。



★戦闘配置(ゼノ視点)


敵陣エリア

 配置なし


前線エリア

 クマモノ

 ゼノ、ディーチェ

 

自陣エリア

 クルト



「よくやったわゼノ。後は私と、私達の出目うんめいを信じて」


 それだけ告げた彼女は、前衛の俺より更に前、クマモノの眼前へと躍り出る。

 明らかに儀礼用の武器である錫杖を野球のバットのように振りかぶり、支援を本業とするダイスの女神は――物理攻撃を敢行した。


「ここが決め時、正念場ね! 気合い入れて行くわよー!」


 【革命力】でダイスを増加させたディーチェの命中判定が走り出す。呆然と見守る俺の眼前でダイスロールが停止し、結果が現れた。


【物理行動力】判定/難易度:対決

 ディーチェ:【物理行動力】+4D6 → 2+18[2、4、6、6] → 大成功クリティカル


 出目に6が2個以上――クリティカル。同時に、ディーチェが成長時に伸ばしていた最後のスキルが発動する。

 《天命解放》。クリティカルの発生時、一度の物語1セッションに1回だけ【革命力】を上限を超えて回復させる、博打スキル。

 その効果によって通常時以上に増加した【革命力】まで全て注ぎ込み、ディーチェのダメージロールが唸りを上げる。


「いい加減に――吹っ飛べぃ!」


ダメージロール

 ディーチェ:【物理攻撃力】+11D6 → 2+42[出目1、2、2、3、3、4、5、5、5、6、6] → 物理ダメージ:44


 全身全霊のフルスイングが、クマモノの首に真正面から叩き込まれる。

 骨が盛大に折れ砕ける音と共に、クマモノがピタリと動きを止め……その黒い巨体は思いの外ゆっくりと大地に倒れ伏し、そのまま二度と動き出す事はなかった。


【HP】計算

 クマモノ:【HP】23/70 → 0/70

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