シーン2-1/成長

 PCの成長。読んで字の如く、自分が操るPCの能力を伸ばし、より強く成長させる処理だ。

 ブレイズ&マジックでは、敵を倒したり、セッションを終えた時に報酬として獲得できる"経験点"というリソースを消費してキャラクターを成長させられる。成長処理を行なうと、そのキャラクターの能力値などが上昇する他、取得できるスキルの数も増加する。



★成長処理の流れ

①メインクラスLvレベルの上昇

②メインクラスのスキル取得

③サブクラスLvレベルの上昇・サブクラスの新規取得

④サブクラスのスキル取得

⑤能力基本値の上昇

⑥能力基本値、能力値、副能力値の再計算



「――っていうのが、ブレイズ&マジックにおけるPCの成長処理の手順だな。

 メインクラスLvを伸ばす。サブクラスLvを伸ばす。Lvを伸ばしたクラスのスキルを1Lvずつ取る。能力基本値を伸ばして諸々の数値を再計算する……この4つが、成長の基本になる」

「なるほどなるほど。いやー、経験者のガイド助かるわぁ」


 山道脇の手頃な大きさの岩に再び腰掛け、PC成長についてディーチェに解説する。

 初心者は温かく丁寧にサポートして、界隈の裾野を広げるべし。それが公式に利益をもたらし、巡り巡って自分達ユーザーへの還元に繋がるのだから。

 TRPGを教えてくれた先輩の言葉を思い返しつつ、俺はディーチェと共にPCの成長を開始するのだった。



「……よっし、こんな感じね!」


 一足先にキャラクター成長を済ませて地図を確認していた俺の耳に、成長を終えたディーチェの声が届く。


「成長おめでとさん。性能確認も兼ねて、お互いのビルドについて共有しとくか」

「わかったわ。じゃあゼノ、私の順番で報告会ね!」


 首肯を返し、自身のキャラクターシートを思い返しながら説明を開始する。


ゼノのクラス構成は、成長して"アタッカーLv4/サムライLv4"。

 基本、前線エリアで戦う剣士ビルドだ。【肉体、精神、器用】の能力値が高めだけど、【幸運】能力値が低いせいで【革命力】は2点しか持ってない」

「ほうほう……【革命力】ってあれよね。ダイスロール増やしたりできるやつ」

「ああ。"ダイスロールの増加"と"判定の振り直し"に使用できる、運命を覆すための力……っていう設定の切り札」


 TRPG界隈ではそういった状況を覆すための切り札を"ヒーローポイント"と呼ぶ事もあるが、今はあまり関係ないので説明を省略しておく。


「で、俺はその【革命力】が極端に低い……というか最低値しかない。その代わりに【幸運】と【感覚】以外の能力値は普通~高めで纏まってるから、出目の事故に気を付ければ安定して性能を発揮できると思う。

 あとは3体まで殴れる範囲攻撃スキルもあるから、敵が多くてもある程度は対応可能……ざっくり説明すると、そんなところかな」

「おっけー、説明ありがと。次は私の番ね」


 待ってましたと言わんばかりの勢いで自身の性能を解説し始めるディーチェ。俺はそんな彼女に、自分が初心者だった頃を思い出しながら……内心で頭を抱える羽目になる。

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