シーン1-5/チュートリアル

★戦闘開始



★【先制力】判定


「ヘッヘッヘ。まずは【先制力】判定からだ! 相手の運命を上回った方が、先手を取って相手を叩けるってわけさぁ! 行くぜぇ!」


 山賊団の掛け声と共に、俺達全員の頭上にダイスが現れ回転する。ブレイズ&マジックのルールに則るならば、このダイスロールに勝利した陣営が先に敵陣を攻撃できるはずだ。

 全員のダイスロールが終わり、その結果がイメージとして脳内に浮かび上がる。果たして勝敗は――。


先攻陣営:チュートリアル山賊団

後攻陣営:ゼノ、ディーチェ


「げっ、こっちが後攻かよ!?」

「ヒッヒッヒ。この戦い、俺達の勝利だぁ!」

「フッフッフ。あまり気を落とすなよ、兄ちゃん」

「くっ、無駄に優しいのが逆に腹立つわね……! っていうかゼノ、あなたの出目ちょっと酷くない!? 2ゾロって!」

「ううううるさいな! そういうディーチェだって3ゾロで期待値より低いじゃんか!」


 先攻を奪われた動揺から言い争いを始める俺とディーチェ。その様子を見て、山賊団の頭が肩をすくめる。


「ヘッヘッヘ、まあ落ち着けよご両人。旅の連れは大事にするもんだぜぇ?

 とはいえ先攻は譲らねぇがな! さあ、戦闘配置だ!」


 各々の得物を手に、戦場に展開するチュートリアル山賊団。その配置は、3人全員が前線エリアに立つという形になっている。これは……かなりマズい展開ではないか?

 案の定、先攻陣営の配置完了と同時に俺とディーチェは短距離を転移し、前線エリアへと引きずり出される。



★戦闘配置(ゼノ視点)


敵陣エリア

 配置なし


前線エリア

 山賊団の頭、山賊団の手下A、山賊団の手下B

 ゼノ、ディーチェ


自陣エリア

 配置なし



「わ、ちょっ!? なんで勝手に前線エリアに出されるわけ!? 私、後衛なんだけど!」

「落ち着けディーチェ! 後攻陣営は、前線エリアに敵の人数の半分以上(端数切り上げ)を配置するってルールがあるんだ!」

「ヘッヘッヘ、その通りよォ!」



★セットアッププロセス/1ラウンド目



「ヒッヒッヒ! さあ、セットアッププロセスだ! 俺達チュートリアル山賊団には、特に宣言はないぜぇ?」


 なるほど、こういう感じで戦闘の儀式が進むのか……脳内でゼノのキャラクターシートを参照するが、どうやらセットアップの能動的な行動はないらしい。

 ラウンド間持続する攻撃力の強化効果バフでも取得していれば使っておこうと思ったのだが。


「それじゃあ、私から宣言! はぁぁぁ……《フィジカルエンハンス》!」


 宣言と共に、ディーチェがサブクラス"練技使いエンハンサー"のスキルによる独自の呼吸法で肉体を活性化させ、自身の身体能力を向上させる。

 《フィジカルエンハンス》の効果はそのラウンド間に行なう【肉体、感覚、防御行動力】判定の達成値増加。効果量はスキルLv依存だが、【防御行動力】判定で山賊団からの攻撃を回避できる可能性もある。

 一方で、多少の不安もあった。エンハンサーは前衛での直接戦闘に向いたサブクラスだ。ディーチェは自分は後衛だと言っていたが、何か工夫や狙いがあるのだろうか……?


「フッフッフ! お次は先攻陣営のメインプロセスだ! 覚悟しな、ご両人!」

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