第23話

「ダメだ! 何も分からんな!?」


「―――ええ。」


「"セイスケ"は、


 ここにはいないみたいだヨ―――、」


昼から、数時間ほど時間を掛け


この神代の集落を回り何か征佐の


手掛かりになりそうな事は無いかと


いくつか神代の集落の家を訪ねてみたが....


「まあ、確かに、この集落には


 "征"の字が名前に入ってる


 男は多いようだが....」


「それが、ナニよ」


「―――それも、そうだ」


征四郎たちは、先程尤光と会った


軽食屋の軒先の長椅子に座り


沈みかけている夕日に目を向ける


♫ ピロリロリン


「―――?」


「.....近藤か」


「ああ」


着信音が鳴ると、善波は携帯を手に取る


「―――どうした、近藤!


 何か分かったのか!?」


「【―――ええ、一応は....】」


「(・・・・)」


あまりに手掛かりが無い事に焦れたのか、善波は


どうやら叶生野の屋敷にいる執事の近藤に


この神代の集落について調べさせていた様だ


「この、神代の集落には、


 "征"の字の人間が多いんだろうっ!?


 だったらっ ここに


 "征佐"がいるんじゃないのかっ!?」


「【そこまでは、分かりかねます――――】」


「だったら、何か他に


 分かった事でもあるのか!?」


「【――――ええ。】」


「何だっ!?」


「・・・・」


特に考える事も無いのか


征四郎 そして隣に座ったジャンは


ただ、携帯に向かって怒鳴りつけている


善波を見る


「【―――今回の御代の件に関りがあるかどうかは


  分かりませんが、お亡くなりになられた


  尚佐さまの事に関して


  少し分かった事が――――....】」


「祖父さんのっ!? 何だっ!?」


「【・・・


  どうやら、今、善波さま、


  そして、征四郎さま、ジャンさまが


  おられる神代の集落――――】」


「ああ、今いるぞっ」


「【どうやら、その、神代の集落の


  ある家に、尚佐さまは、よくお顔出しを


  されていた様なのです――――】」


「・・・家っ!? どこの家だっ!?」


「【その神代の集落の手前から少し進んだ先、


  神代の集落の外れに鷺代家(さぎしろけ)


  と言う家が御座います】」


「鷺代っ!? 何だっ!? ソイツはっ!?」


「・・・・


 ツー、ツー...」


「あ、 お、おい!?」


「ツー....」


「どうしたんだ?」


「いや、で、電話が―――」


「ゼンバさん、ウルサイから、


 電話切られたんじゃナイ?」


「―――そうかもな...」


"スッ"


そのまま携帯をズボンのポケットにしまう


「どうやら、この場所の少し先に


 "鷺代"と言う家があって、


 尚佐祖父さんはそこによく


 顔を出してたそうだ―――」


「鷺代・・・」


「とりあえず、そこに行ってみるか」


「・・・・」

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