【忍城・12】燃えよドラゴン。消し炭になってくれると嬉しいんですが
上杉勢後備え
甘粕景持(龍の髭の片方)
情けない!
あの1000人、ほぼ全員取り逃がしてしまうとは!
南へ逃げた300程の大胡勢を荒川へ追い落とそうとしたが、爆発音とともに猛烈な煙と何かが飛んできた。
小さな鉄球だったようだが、当たっても痛い程度。
怪我など殆どしない。
だが何が起こったのかわからず混乱する所へ大胡の狙撃が始まった。
更なる大混乱をきたし、追撃どころではなくなってしまった。
御本城様に顔向けできぬ。
そうこうするうちに辺りは完全な沼地となった。
上杉の本陣付近は未だ普通の田畑であるが、右翼と左翼は下が泥濘と化し、多くの川が出現しているであろう。
本陣への報告へ向かうと、もう戦どころではない状況が目に飛び込んできた。
左翼の兵は移動すら困難。
当分は足止めじゃな。
何か別の方策を、進路を考えねばならぬ。
多分あれじゃろう。
利根川の遡上策。
そろそろ舟も接収できたであろう。
この泥濘で安心している、あの竜騎兵の後ろへ上陸する。
これで狐を一網打尽よ。
御本城様がどう采配を振るうか。
これからが楽しみじゃい。
◇ ◇ ◇ ◇
上杉本陣。
上杉政虎
狐の配下も狐であったか。
子狐にしてやられた。
甘粕なら敵の策を如何様にもいなして、敵右翼を壊滅させられるかと思うたが甘かったか。結局、こちらの左翼が壊乱しただけ、こちらの負けというわけか。
だがまだ終わったわけではない。
負けたわけではない。
ここまでは余興よ。
左翼の揚北衆が被害を受けたが中条(藤資)は影武者など用意して居った。見苦しいがこの際、眼を瞑る。
「軍議を開く。各部将を呼べ」
大胡の新しき武器。
あの猛煙と鉄球を吐き出す仕組み。
こちらにも手に入れた。
不発が多いらしい。
対応策は容易くできるであろう。
(作者の独り言:甘いぞドラゴン! 米軍を舐めるなよ)
既に2000以上の兵を一気に遡上させられる舟を関宿で待機させてある。南風の時に帆を使えば遡上も楽だという。
上陸させたら2度目の遡上で合計4000は後ろに出られる。
揚北衆を遡上させ名誉を挽回させよう。
10000での包囲戦だ。
左右は逃げられぬぞ、
狐よ。どうする?
儂に見せてくれ。
断末魔の踊りを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます