【忍城・11】子狐、龍の髭を焼く

 すみません。ひどくパロってます。


 うっ、こんなアニメとゲームも……

 ネーミングセンスがw

 https://kakuyomu.jp/works/16816927860630530111/episodes/16816927861104559057

 

 ◇ ◇ ◇ ◇


 1559年4月下旬

 武蔵国忍城北方半里

 網走在施符

(完全にゲームかアニメの狙撃兵のようなチーター)



 肩の調子は万全だ。生菊先生には感謝しかねえぜ。

 普通ならば左肩が腐っていてもおかしくなかった。なんでも鏃を引っこ抜いたでかい穴を縫い付けて塞いだとか。よくわからんが血が止まって安静にしていたら治っちまったよ。

 

 なんだかよう。

 皆に助けられて変な気持ちだ。


 だからといっちゃあなんだが、今回は張り切って仕事するぜ。

 褒美は要らねえ。


 ……だが酒をちょっとと、

 女子の匂いだけでも……


 いかん。

 そんなことを考えている余裕はねえ。


 ここから北1町(100m)の所に猛煙が上がっている。

 そこから徒になった騎馬武者らしき上杉の奴らが抜け出して来る。


 あそこしかもう通れる道はねえ。第1大隊の残りの皆は殆ど西へ逃げられた。第4中隊の連中はついてなかったな。荒川を泳いで渡っている。


 水泳にはまだ早いぜ。


 また出てきやがった。

 2人か。


 まずは左の奴に狙いを定める。昨年配備された冬木式は普通の奴らじゃまだ扱えねえな。


 殆ど当たらねえ。まあ射程距離と弾幕張るための長銃身銃だからな。


 いつもの様に尻を地につけて左足を立てる。

 ゲッ、尻が冷てえ。


 もうこんなに水が流れ込んでいるか。

 ここもいつまで通れるか。

 それまで連中を足止めすれば任務完了だ。


 銃に付いている革の肩掛けの帯紐を左手の甲にぐるりと巻き付け、銃身を右に引っ張り固定。

 左膝の上に乗せた銃身の照星と照門を合わせる。

 いつもの様に赤い線が見えた。


 引き金を落とす。


 ズガン!


 反動がすげえ。


 8匁(30g)弾が上杉の武者が着ている甲冑に大穴を空けた。


 いつもながらすげえ威力だ。

 4匁弾の倍どころじゃねえ反動だが当たればこの通りだ。


 もう一人の武者が沼地になりつつある地面に伏せる。


 そんなことしても無駄だぜ。

 後ろから弾込め係の奴が次の銃を渡して来る。


 それを使って顔を上げている武者の兜を打ち抜く。


 武者は顔を泥水で顔を洗いたかったらしい。

 それとも飲みたかったのか? 


 ずっとそっこで飲んでな。


 そろそろ大剣の煙が薄れてきた。あと何人か殺れば、終わりにできるか?

 幸い敵は騎馬武者だけだ。槍なんざもう騎兵では通用しないんだよ。

 せめて弓兵を騎馬させるとかするしかねえ、そんな時代になったんだ。


 その後3人倒したとき、後ろから声が掛かった。


「おい。網走。よく当てるなぁ、相変わらず赤いのが見えてるんか? 帰ったら奢ってやる。肴は何がいい?」


 第1大隊長の吾妻のあんちゃんだ。

 どうやら最後尾で殿軍を指揮して来たらしい。


「おっ、いいねぇ。鮎が獲れていたら鮎の塩焼き。だめなら鰻の蒲焼なんかくれますかい?」


 大隊長は撤収の指揮をしつつこっちを向いてそれに答えた。


「高けえもんばっかり注文しやがって! この時期若鮎はまだ獲れねえだろうが。まあ売ってれば奢るぜ。蒲焼は脂がのってないかもしれんが。それに皆につつかれてあっという間になくなるぞ?」


 俺は3年前には絶対言えない言葉を口にした。


「いやぁ、皆には世話になっているからな。これは俺の驕りだよ」


 すると大隊長は

「俺の銭だっつーの!」

 とぶつくさ言いながらも笑顔で撤退指揮を再び開始した。



 🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸



 さて大剣とは何だ?


(ヒント。ハイランダーの大剣だけど、その名を付けたベトナム戦争で使われた奴です)



 前説で出てくる奴。

 勿論、大英帝国を支えた迷銃ブラウン・ベスです。

 30gの19.8mm弾を打ち出す。

 当たらね~w



 網走在施符の元ネタについてコメントがありましたのでついでに。



「同志少女よ。敵を射て」

 の時代。


 スターリングラードで活躍した天才的なスナイパーの名前。

 ヴァシリ=ザイツェフから取っています。


 普通は狙撃用にチューンナップしたライフル使って戦うのですが、この人普通の標準型モシン・ナガンという精度の低さで有名な小銃で数十名のドイツ兵を倒したことで有名です。



 もう天才を通り越しています。

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