【殿軍】機動防御で地黄八幡を蹴っ飛ばす
1551年9月中旬
申の刻(午後4時)
茂林寺西方1里
東雲尚政(どんどん頭だけ成長していく狐)
散在する薄の繁みに隠れ、40名で編成された小隊が、所々で近づいた敵に種子島を放つ。
早合3つを撃ち尽くすと後退。
この繰り返し。
だがこの平地では馬は隠せない。よって、次第に対抗策が練られ包囲されないように1射したら後退するようになってきた。やはり柔軟性があるな。地黄八幡とはよく言ったものだ。地力がある。
あと1里は後退する余地はある。このまま続けてもよいが、そろそろ陽が沈む。あと半刻もすれば逢魔が刻だ。敵も味方も相手が見えにくくなる。
さて、どちらに有利になる?
射撃の方が不利なことは承知。
徐々に敵の陣形が変化してきた。二つの魚鱗が前面に作られつつある。これは……殿が言っていた「ぱんつぁーかいる」という陣形か? それとよく似ている。
こちらの少数に分かれた射撃陣に対応したのか? だがあれは、こちらが固定した陣であることが条件だ。一応、今までの方式を改めた方がよさそうだな。
うううむ。
やはりこういう時は殿だったらどうするか、そう考えてみるか。
「敵さんの気持ちになること大事」
と言っていた。
綱成は後背を由良・佐野・太田に慕われ(追われ)、
前進するしかないのだ。
一番怖いのは立ち止まること。
そして兵が浮足立つこと。
このどちらかを敵に起こさせれば、進退窮まるに違いない。
このまま後退していいのか?
同じことの繰り返し。
相手は安心するに違いない。
ならば、意表を突くしかない。
何処を衝く?
側面は駄目だ。
直ぐ対応される。
何度もやっているのでもう効果はない。
では……
これだ!!!!
「総員。傾注!
これより敵、
乗馬して敵の北側を全速で機動!
さあ、お楽しみはこれからだ!!!!」
300騎の1里迂回、大反撃が始まった。
◇ ◇ ◇ ◇
同日酉の刻(午後5時)
茂林寺西方半里
太田資正(やっと出た道灌様の子孫)
やばいぜ。
もう夕刻だ。
夕日を背にしている敵の方が有利だな。あの殿軍はしぶとい。
綱成直轄の陣か? 馬印がないところを見ると本人はいないようだが。
だがもう500の兵が400位にすり減ったようだ。普通なら潰走しているだろうな。
陽が落ちる。
逢魔が刻だ。
周囲が見えにくい。
突進すれば崩せるかもしれんが、その後の取りまとめが大変じゃい。
どうすべ。
その時、右手より多数の騎馬が敵の殿軍に近づき……
轟音!
あれは先ほどから聞こえていた種子島か!? 6列の縦列が敵の左翼に近づき横列になり発砲。その後1列ごとにそのまま乗馬したまま発砲、元へと戻ってゆく。
その数300ほど。
6回の火縄銃の連続射撃。
瞬く間に敵の殿軍が潰走した。
この機を逃すような俺様じゃねえ。
「全員。突撃! 目の前の敵、1匹たりとも逃がすんじゃねえ! 追い散らして敵の本隊も崩しちゃれ!!」
味方が逃げ込めば、その備えはめっぽう弱くなるのが常識だ。
「お前もいっちゃれ!」
儂は足元で座っていたソレに声をかける。
ソレは物凄い勢いで走り去った。
自分の顔が獰猛になっているのがわかるぜ。
ここが先途だぞい!
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻
赤岩の渡し東方5町
北条綱成(自信過剰な、あ、一応実力伴っているけど相手が悪すぎる超有能部将)
追いつかれた。
殿の玉縄衆が崩れた。あの騎馬隊が散らばって引き返したのは、北側を回り込むためであったか。殿の横から種子島を放ちおった。
逢魔が刻で発見が遅れたか。
完全な奇襲となった。
もう前進するしかない。
残りの精鋭玉縄衆200を先鋒に渡し場を占領。その後背水の陣にて夜間を過ごすしかない。
儂としたことが何たるざまよ。物見をもっと増やすべきだったか?
「敵300。前方より近づきつつあり! 長柄です!!」
長柄でのぶったたき合いか。
玉縄衆なら押し通れる。
陽が落ちるまでに決着をつけてやる。
◇ ◇ ◇ ◇
同日同刻同場所
後藤透徹
「おおお!
あそこに見えるは地黄八幡・綱成の首!!!!
儂が獲ったる。待っとれよ~~~~~!!」
🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸🔸
こらこら。主人公は小学生まで洗脳しようとしている
https://kakuyomu.jp/works/16816927860630530111/episodes/16816927860636305318
なに、主人公。パンツァーカイルなんか教えている?あれは使えんでしょ?
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