【捕捉】長柄でぶったたき合い!
1551年9月中旬酉の刻(午後5時)
上野国赤岩の渡し東方2町(200m)
官兵衛(此奴がいるだけで 後藤隊の威力が何倍になることやら)
「後藤の旦那。長柄隊列準備できやした」
舟から降りたときは3分割してあった、3間半の長柄を組み立てて皆が持っている。
「おお。者ども~前進! 目指すは
応!!!!
いつもながら思うんだが、旦那と殿さんとどちらが声でかいんだろうな。いつかは声比べ、聞いてみたいが。
後藤隊300。
小隊90が横一列となり長柄で槍衾を布く。それが3列。後ろに弩弓や盾などを運ぶ予備隊30。
幸い種子島が20丁ほど届いたが、5丁はずぶ濡れで使用するのは危険と置いて来た。15丁が発射準備を整え終えている。
前列が激突した。
こちらの足軽は大胡胴と大胡笠を纏っている。
大胡胴の素材は殆どが藤蔦で、所々に鉄板が使われている。最近は藤蔦の上から紙や革で成形するようになった。特に前からの刺突と上から肩への斬撃に強くなるよう補強されている。
勿論長柄を使ったぶっ叩き合戦の為の対策だぜ。
頭は、よそじゃあ普通の菅笠を使う。たまに薄い鉄板を使うとこもあるが、重すぎるし中途半端な防御しかできんな。
長期戦には向かない。
首がもたん。
大胡笠は藤蔦で編んだものを真ん中から折り曲げ、横から見ると銀杏の葉のような形にしてある。こうすると長柄が頭に当たるときの力が弱まる。その流れた長柄は肩の補強された鉄の部分に当たる仕組みだ。
これで上からの斬撃で負傷する足軽がだいぶ減った。
今もその効果が目の前で繰り広げられている。
「叩けーい! 引ぇい! 叩けーい! 引ぇい!」
「えいっ! 応! えいっ! 応!」
旦那の号令で足軽がその長い長柄の重さを使い、敵方の足軽に穂先を叩きつけている。
こちらの穂先は届いているが敵の穂先は届かないぜ。
3間半の長柄の真骨頂だな。
届くように無理に突っ込もうとしても、次の2列目の穂先が目の前に来るので近づけねえだろ? 足元に転がる手負いは圧倒的に敵が多い。
「押せ~い!
押し込め~いっ!
今一歩じゃ、今一歩で地黄八幡の首に届く!!」
向こうからも咆哮が聞こえるな。
「負けるな~押し返せ~!
我らには八幡大菩薩がついている!!
その力を見せつけよ!!!!
踏ん張るときは今ぞ!!!!」
これは獣同士の咆哮じゃな。
さて、そろそろ獣の時間か?
用意をしよう。
「予備隊。火縄と弩弓の用意できたか?」
「できています!」
「よし、後藤の旦那のすぐ後ろで構えい」
種子島15丁を7+8に分け、横2列に並べる。
その前には弩弓15丁をやはり7+8丁で2列。
「旦那! 用意できやした!!」
「そうか!? ではいくぞ!!」
旦那が地に伏せる。
四つん這いだ。
右膝だけ地面につけている。
「旦那、発進! 前方開けろ!!!!」
後藤の旦那の前、10名ほどが左右に分かれる。
その向こうにいる敵足軽へ向かい、旦那の背中越しに5間の距離での種子島2射と弩弓2射。
時間差を開けたのは、当たった敵が倒れてくれるのを待って、次の列に当たるようにだ。
発射音と共に、完全にぽっかりと旦那の前に道ができた。
さあ旦那、任せたぜ。
俺は後ろを守るから、存分に暴れろや。
「うぉおおおおりゃぁああああ~~~!!!!!!」
敵陣奥深くへ突っ込む旦那の後を追い、手槍に持ち替えた予備の30名を率いて、左右の敵足軽を崩しつつ前進。
敵先鋒は精鋭だったらしいが、もう崩壊寸前だ。
捉えた!
敵の大将はもう旦那の目の前にいる!
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この世界線ではのぶにゃんはどうなる??
https://kakuyomu.jp/works/16816927860630530111/episodes/16816927860636330120
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