結果

 僕と桜が出場する、バトルロワイヤルの大会は土曜日と日曜日の二日間にかけて行われる。

 出場人数は40チームの計80人。

 土曜日は、予選で日曜日は決勝戦だ。

 予選は20チームと20チームの二つのグループにかけて行われる。

 一日4試合行われて、その各グループの上位、10チームが翌日の決勝に進める。


 ルールを聞くと、けっこうガチガチな大会だな。

 プロが大勢参加するだけはあるか。

 実況と解説付きで生配信するとかなんとかも聞いてるし。

 優勝賞金が100万なだけはある。

 

 僕たちは土曜日の予選を五位で通過する事が出来た。


 「良い感じじゃない?」


 「練習通りって感じだね」


 「じゃ、明日も頑張りますか」


 「100万取るぞー!」


 そして翌日。

 決勝はやはりと言うべきか、そんなに楽なものではなかった。

 3試合を終えて、総合八位。

 既に優勝の可能性は無く。

 4試合目は奮闘するも、最終順位は五位で終わった。


 「ウチの100万がー!」


 「まあ、頑張った方じゃない? 他はほとんどプロだ、その中で五位は凄いでしょ」


 「そうかもしれないけど、悔しいもんは悔しいんだよー!!!!」


 「うるさい叫ばないで、イヤフォンだから、耳が痛いから」


 「一ノ瀬は悔しくねーの?」


 「そりゃ悔しさはあるけど、同時に手応えも感じてる、プロでもやっていけそうだなって」


 「一ノ瀬はさ、プロになりたいの?」


 言われて、僕は考える。

 正直、将来の事なんて、大学に行く以外は何も考えてない。

 特に、なりたい職業なんて無いし。


 「まあ、ゲームしてお金を稼ぐってのも悪くは無いと思うけど、そんなに甘く無いとも思ってる」


 「意外と現実的ね」


 「まあ、大学行きながらのプロゲーマーってのも良いかもな」


 「じゃ、ウチもだね」


 「どういう意味?」


 「一ノ瀬がプロになるって事は、ウチもプロになるって事でしょ?」


 「そうなの!?」


 「いやそうでしょ、こんだけ一緒にやってきて、今更他の人と組もうってわけ?」


 「いや、桜が良いのなら僕も断る理由はないけど」


 「なら良いじゃん、実力は保証するよ」


 「まあ、まだ先の話だ、それよりは今の話をしよう」


 「なに、大会の反省会でもするの?」


 「それはプロがやる事だ、僕達はまだプロじゃないんだから、ほら、会うって約束したろ?」


 「それだ!」


 「だ、だから急に大声を出すな、耳が壊れる」


 「そうだよ! 会おうよ!」


 「お、おう、だからそう言ってるじゃん」


 凄い乗り気だな、これで悔しさも紛れれば良いけど。


 「次の日曜日はどう? 一ノ瀬、前に土日は暇って言ってたでしょ」


 「日曜? 良いよ。それでどこで待ち合わせるの?」


 「あそこで良いじゃん、前言ってた駅」


 「ああ、あそこね、良いよ近いし」


 前に話した駅とは、最寄りの駅から電車で10分程で着く。

 そんな近くに住んでいるとは、世界も意外と狭いのかもしれない。

 そんな事を、前に話した気がする。


 「約束ね、絶対来てよ?」


 「行くよ、僕だって桜に会いたいし」


 桜は、僕にとって今までで一番話が合う友達だ。

 顔も見た事がないけれど、僕は親友だと思っているくらいには。

 

 「という事で、今日はこの悔しさを晴らすためにゲームするぞ一ノ瀬!!」


 「痛い! だから、大声で叫ぶなって言ってるでしょ!?」


 そして、僕たちが眠りについたのは、日の出が登ってくる頃だった。


 

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