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逸模野いつもの公園。数年前と比べるとさびれており、遊んでいる子供もいない。その公園のブランコで、高校二年生の松尾一輝が座っていた。待ち合わせをしているのだ。ブランコを揺らす度、気がきしむ音が聞こえる。その度に、一輝は不安になってくる。

「お待たせ。一輝。久しぶりだね。」

そこに来たのは夕月だった。一輝は夕月より一歳年上だというのに、敬語を使わなかった。一輝と夕月、そして宇月は小さい頃、この公園でよく遊んでいた幼馴染なのだ。

「いきなり呼び出してごめんね。最近はどう?高校生活には慣れた?」

「今年から一輝と同じ六高に通い始めたし、まあまあ楽しいよ。友達も何人かできたし。」

「ユヅ、六高行ってるのか!全然気づかなかったな。……」

一輝は、なかなか本題に入れずにいた。その理由は「なんとなく」だったが、本題前の無駄話がだらだらと続く。

「そういえば、一輝がここに呼び出した理由って何なの?何か話したいことがあるんじゃないの?」

一輝は咳込んだ。話す準備をしていたのだ。

「僕が話したいのは、超能力のことについて。ほら、ユヅは小さい頃によく僕に超能力を見せてくれていたじゃん?」

小さい頃の夕月は、超能力を隠さずに生きていた。この公園でブランコを揺らしたり、枯れ葉を浮かしたり、様々な超常現象を宇月と一輝に見せていたのだ。

「ユヅ、『異能部』って知ってる?」

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