3-2

未那都は、急に腑抜けた声が出た。夕月が受けた燐よりも強引なお誘い(未那都は夕月が燐にお誘いを受けたことは知らない)、そして自身の持つ超能力を「異能力」と呼ぶ者がいることだ。未那都は、誘いを断るのが苦手だった。しかし、ここでは断った。

「ごめんなさい、ちょっと、私には……」

未那都はおどおどとしていた。それを利用してか、弓はさらに押し続けた。

「私の仲間は全員異能使い。あなたが入ってくれたら、あなたも私も戦力増強に繋がる。これって、win-winじゃない?あの爆発は『六高の切り札』になると思う。だから、お願い!」

「え、戦うってこと……?」

未那都は、昨日のことがトラウマになっていた。それゆえ、戦うことは避けたかった。

「大丈夫。傷つける訳じゃないから。とりあえず、部屋まで来てくれないかな?」

「そこまで言うなら、少しだけ……」

弓に押し負けた未那都は、弓と、少し離れていたところで待ち構えていた松尾一輝まつおかずきの二人が、未那都を連れて行った。

数分間廊下を歩くと、彼らは扉の前で止まった。部室棟の一室の前であるのは分かるが、未那都は帰宅部のため、何の部室なのかは分からない。建付けが悪いのか、重い扉を開けると、二人の学生が椅子に座っていた。椅子の数は未那都達を含めても明らかに多かった。そして、弓と一輝は未那都に向かって言った。

「ようこそ、『異能部』へ!」

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