2-8

「僕にも、服部さんと同じようなことがあった。」

「え?」

「僕も、力の暴走を引き起こしちゃったことがあるんだ。」

夕月は、俯きながら言った。夕月は、これを思い出すと辛くなる。だから、できる限り思い出さないようにしていた。

「力の暴走のあとは、いつも辛くなる。だから、どうしていいのか分からないんだよね……」

そこからの帰り道は、両者無言であった。両者の別れる場所につくまで、気まずい雰囲気が続いた。


家に帰り、宿題をしていると、家の扉が開く音がした。宇月が帰ってきた。

「ただいま、兄さん。早いね。」

「学校で爆発事件があって、午前中に帰らされたんだ。」

「へぇ……もしかして、兄さんがやったの?」

宇月のこの言葉に悪意はなかった。宇月は、その事件を超能力によるものだと断定してしまったのだ。そして、宇月にとって、超能力者は夕月しか知らない。

「僕がやるわけないだろう。」

「それならいいんだけど。」

「どういう意味?」

宇月は、夕月がいつも事件を起こす問題児だとは思っていない。宇月は、夕月の超能力の暴走を知っているのだ。それ以来、宇月は夕月を恐れることが多くなった。そのため、ちょっとしたことでも敏感になるのだ。宇月は、自身の勉強机に向かい受験勉強を始めた。

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