2-7
爆発のような音が原因で、生徒は下校させられたのだ。夕月たちは、それをまだ知らない。すると、一人の男性が教室で待機していた夕月と燐に駆けつける。
「キミ達、何しているんだ!早く帰りなさい!」
その男性は警察だった。どうやら、爆発音を聞いた誰かが通報、警察が到着したということらしい。そして、生徒はまだ一時間目が始まっていないのにも関わらず、強制下校となった。
「わかりました。帰ります」
二人は、急いで鞄に荷物を詰め、昇降口へと向かった。すると、夕月と燐以外で残っている生徒である、未那都に会った。未那都は、警察からの事情聴取を受けようとしていた。
「ちょっと待ってください。」
燐が未那都と警察の間に割り込んだ。夕月には、その理由が分からなかった。
「この事件が服部さんの仕業だと知られたら厄介だ。この対応は俺に任せてくれないか。」
燐は未那都にそう言った。未那都自身も、警察も困惑している。
「俺は現場を見ていました。話したいことがあるので、暫く二人にしてください。」
燐は警察相手にも動じなかった。燐の仕草から、夕月と未那都は「早く帰れ」ということを悟った。二人は靴を履き替えて、裏門から帰るのだった。
「ごめんね、私のせいで。こんな事件を起こしちゃって……」
夕月と未那都はどちらも電車通学で、向かう先が同じだった。
「気にしてないよ。そもそも、原因は服部さんについていた『何か』のせいでしょう?」
「だけど、元々、あの人たちに復讐したいと思ってたのは私だから……」
大切な人を失い、そのうえ暴走までしてしまう。夕月は、未那都にかける言葉が見つかるまで時間がかかった。
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