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「私の他に……こんな近くに超能力者がいるなんて。思ってもいなかったな」

「そんなの思ってる状況じゃないだろう。この状況を説明してくれ」

夕月はそう言い、教室の隅にいる他の生徒を連れ、廊下に出す。避難させるようなものだ。認識阻害の能力は忘れなかった。

「私の計画を邪魔しやがって……」

1人ずつ出していると、生徒がまるで磁石のように教室に引き寄せられる。夕月も例外ではなかった。燐が能力の影響も受けないのが、なおさら未那都を驚かせる。

「いい加減話してくれよ。俺達も暇じゃないんだ。」

「うるさいなぁ!!」

未那都は燐の頬にパンチを一発入れる。そのパンチによって能力の衝撃波が夕月にも伝わり、油断していた夕月はふっとんだ。しかし、咄嗟に力で受け身をしたことで、怪我はなかった。一部始終を見ていた燐は誰にも聞こえないように呟いた。

「コイツ……正気じゃねえな。何か・・に操られているみたいだ。」

立ち上がった夕月は、燐に頷くように言った。

「確かにおかしい……止めようとしただけなのに、敵意が感じられる。」

「なぁ、君達も超能力者なんだろ?私の攻撃にやられてばっかりじゃんか。何のためにここに来たんだ?」

「これを止めに来た」

「じゃあ力を使ってみろよ。なぁ、麻陽夕月と高倉燐。」

未那都は夕月と燐に近づき、夕月の前髪を掴んだ。

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