1-7
「おはよう、ユヅ!」
元気との挨拶で一日が始まる。夕月は鞄の中から教科書を取り出しながら、元気と雑談を楽しむ。
「そういえば動画サイト見てたら面白い動画見つけてさ……ユヅが好きそうなやつだと思う。送るから見てみて」
「本当に?すごく気になる。でも学校ではスマホ禁止だからなぁ。控えておかないと」
『控えておかないと』というのは、必ず守るべきものではない、と暗に言っているようなものである。
「守ってる人も殆どいないからなぁ。」
そう言う元気の手にはスマホが乗っている。しかし、先生の気配を感じると、スマホの画面を消し、ポケットにしまう。
「こういう力だけ身についてしまうよな。」
先生にスマホをバレないように隠し、座席に座ったところに、事件は起こる。ちょうど上の教室__2年1組から爆発音のようなものがしたのだ。それと同時に、窓ガラスの割れる音もすれば、煙が上がっているのが真下からでもわかる。
「え、ちょっと、何?」
「何が起こってるんだ?」
教室の中でも、パニックになる人が出る。中には、教室から逃げ出す人もいる。
「麻陽君、行ってみる?」
燐が、夕月にそう声をかける。
「でも、危険なんじゃ……」
「『あれ』を倒した麻陽君に、これが危険だと?」
「できれば、その話はしてほしくないんだけどな。分かったよ、行ってみるか。」
夕月と燐は教室を出た。
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