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 住宅街をくぐり抜け、たどり着いたのは比較的小さな家だ。燐は鍵を開けると、夕月を案内する。

「今は家族は誰もいないし、入って入って。」

 整頓された玄関に夕月の靴が並べられる。二階のある一部屋に入るように燐が言う。その部屋は扉側にパソコンやモニターなどの電子機器があり、窓側はほとんど何も置かれていない。

「実は、僕の能力について調べている知り合いがいるんだけど、その人に聞いたら『もっと他の超能力者からのデータが欲しい』ってことだったんだよね。だから、その人から貰ったこのロボットに力をぶつけてみて欲しいんだ。」

「ぶつけるだけでいいんだね?」

 さらに、その力に関するデータはパソコンに移され、燐の知り合いに送られるという。夕月は、ただ力をぶつけるだけと知り、安心した。

「じゃあ、お願い。」

 燐はパソコンを使ってロボットを起動する。そのロボットはキュルキュルと音を立て夕月に近づいてくる。夕月は、以前霊災害を倒した時より少し弱い力をぶつけた。


「……あ」


 ロボットは全壊し、かなりの強化ガラスだった窓にヒビが入る。力があと一段階強ければ窓が割れていた。夕月は超能力で窓を直すと、燐に謝った。その一部始終を見ていた燐は、口が塞がっていなかった。

霊級スケール6の霊災害を倒したとは聞いたが、まさかこれほどの力だったとは……麻陽君、今の全力?」

「まさか。高倉君に被害が出たら困るからね。超能力の無効化って言っても、少しは影響を受けるだろうし。」

 燐は超能力を無効化するが故に、超能力の強さがどの程度なのかをあまり知らなかった。そのため、ロボットも、燐の「本来の実験の計画」も潰れたのであった。

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