1-3
「ごめんな、二回も呼び出すことになって。」
夕月は、1時間目の話の内容があまり頭に入らなかった。自分の超能力がばれたことと、燐に、夕月の「聞いたことがない能力」があることを知らされたからだ。
「改めて、麻陽夕月君にお願いがある。僕の能力に関する実験に協力してほしい。」
「えっ?」
新しい情報が多すぎて困惑する。
「僕の力は前例がなくてね、上手く使いこなすには能力者の協力が必要なんだ。無茶を言っていることは分かっているけど……」
俺は君の秘密を握っているから。燐のこの発言には続きがあった。実際、夕月は続きの発言を聞いていないが、分かっていた。夕月に首を縦に振らざるを得ない状況を作っているのである。
「……わかった。やるよ。」
「ありがとう!早速だけど、明日の放課後って空いてるかな?そこで1回目の実験をやろうと思う。場所は俺の家だ。学校から俺の家までそこまで時間がかからないだろうから、学校の帰り、直で行こう。」
「了解」
初めて話した人の家に明日行くとは思えないノリだった。夕月が教室に帰った後、燐は一人残っていた。
「麻陽夕月の『力』、試させて貰わないとな。」
もちろん、夕月には聞こえていない。燐はひとり、にたにたと笑っていた。
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