1 二人の出会い

1-1

 豚糸ぶたいと市第六高校1年1組。

 過去最大の霊災害を解決した少年、麻陽夕月あさひゆづきはその学級の一員だ。彼は霊災害を解決できるほどの超能力者だが、それをクラスの誰かに見せたことはない。むしろ、彼の超能力を知っているのは、家族くらいだ。誰にも超能力者であることを伝えないと自戒しているのだ。そして、自身の超能力がばれないように、あまり目立たないようにしている。

 とは言っても、友達がいないわけではない。

「お、ユヅ!昨日のニュース見たか?途成で霊級スケールの高い霊災害があったらしいんだけど、すぐに解決されたんだってさ!」

「そんなニュースあったの?ごめん、見てないなあ」

「マジかよ、どこのチャンネルでもこればかり放送してたのに……」

 彼の名前は烏丸元気からすまげんき。夕月の一番の友達である。彼と会話していると、夕月の中の時間はすぐに経つ。そして朝SHRが始まる。

「……もうすぐ中間試験だから、勉強をしっかりやっておくように。」

 生徒のブーイングをBGMに、SHRが終わる。すると、夕月が今まで話したことのない人に声をかけられる。まだ顔と名前は一致していないが、名前は確か__高倉燐たかくらりん

「麻陽君だよね?少し聞きたいことがあるけど、今いいかな。」

 何の話だろう、と思いながら夕月は燐の要求に応えた。

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