プロローグ

「速報です。途成町にて、霊級スケール6の霊災害が発生しています。現場は……」

 舞台は途成となり町。豚糸市の隣の町だ。ビルは倒れ、黒く禍々しい何かがそこに立っていた。そこには、過去に類を見ないとも言われる「霊災害」が起こっていたのだ。町の者は皆避難しているが、ひとり少年がまだ残っていた。少年の顔は、何か細工がされているのだろうか、どのような者で、どのような表情かわからない。

「あの人……浮いてるぞ!」

 その少年はまるで霊災害と戦おうとしているようだった。彼が右手を黒く禍々しい霊に向けると、その霊は一瞬にして弾け飛んだ。霊級スケール6というのは、一つ二つの町を破壊し尽くすくらいのレベルだというのに。

「これで……大丈夫だろう。これで、僕は……。」

 少年は納得したような顔をすると、自身の身体の浮遊を止めた。そして、もう一度手を動かすと、崩れた町が自我があるように戻っていく。その後、彼がどこに行ったかは分かっていない。


 この事件を別の少年が見ていたことから物語が始まるとは誰も思うまい。

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