第18話 石鹸

俺は石鹸を作りを始めた。

石灰石を砕いて粉にする。木を燃やした灰も準備する。

熱で温めた油にこの石灰石の水と灰の水を混ぜて作った強アルカリ溶液を混ぜ込む。

油と水とアルカリとで、鹸化をさせていく。

まあ、乾燥して固め時間も含めると完成まで、1週間ほどかかった。

石鹸には香草をねり込んでいるため、香りも良い物が出来ているはずだ。

結果、普通の石鹸の大きさの物が30個出来た!

俺達二人なら何年つかえるんだか・・・。


「おお!!出来たようだなランド!凄いななんだこれは」シグ

「お前が綺麗になるものだよ」俺

「は?必要ないだろう!」シグ

「いや、まだまだ旅は長い!綺麗にすれば匂いは無くなるだろう」俺

「そんなに嫌か・・・」シグ

「いや、お前が嫌いとかではないぞ!匂いは慣れんのだ・・・」俺

「そうか・・・すまんかったな・・・」シグ

なにショック受けてんだよ!意外と繊細かよ!!

「早く一緒に水浴びするぞ!背中洗ってやるからさ!

これ使った感想も聞きたいからよ」俺

「お!そうだな!どんなもんか楽しみではあるな!」シグ

立ち直り早いなこいつ!!


バシャバシャバシャ!!!

「おおこれが石鹸か!本当に泡が凄いな!」シグ

「ほら見てみろ泡が茶色だぜ!」俺

「お前の方もな!」シグ

う・・・本当だ!汚ったね~・・・。

泡と手ぬぐいで、背中を洗ってやり、臭そうな脇と股も念入りに洗わせた!

「こいつは良い匂いだな!」シグ

「そうだろう!薬草とか色々入れてるからな」俺

「中々手が込んでるもんだな」シグ

ジャバジャバジャバジャバジャバ・・・。

ヤバイ!

かなりスッキリした!世界の空気が変わったかのようだぜ!

「おおお!なんだこれは!凄いな!世の中こんなにさわやかだったのか!」シグ

べちょ!!ヌリヌリ・・・。

「グへっ・・何すんだ!ランド!」シグ

「これを塗っとかないと乾燥するからな!」俺

「そうなのか・・・」シグ

1週間ただ石鹸の乾燥を待っていたわけではない。

保湿クリームを作っていたのだ。

ま、薬草をすり潰したものを絞って、その液体と油をひたすら、

すり鉢でスリスリスリと混ぜ合わせただけなんだけどね。

シグは石鹸が気に入ったらしく、水浴びを楽しみにするようになった。

馬の旅も快適になり、

シグも慣れたのか前に乗っても反応しなくなっていた。

後ろや前で座って旅を楽しめる。素晴らしい・・・!


「これは商標登録するんだろう?」シグ

「そうだな。しようと思うけど、この王国でした方がいいと思うか?」俺

「いや、止めといたほうがいいな。」シグ

「やっぱりな・・・俺はガルシアン大陸でと思っているんだが・・・」俺

「正解だろうな。あそこが一番いいと思うぞ!」シグ

「でも商業ギルドって12歳以上だっけ登録できるのは?」俺

「そうだな!お前は来年だな!あっという間だぞ!」シグ

「そうだね。シグは爺さんだな」俺

「うるせえ!おめえはもっと爺さんだろうが!羨ましいこった!」シグ

「そうかもな・・・おい!シグ!これ持っておけ」俺

「なんだこの石は」シグ

「お前の命の代わりに一度犠牲になってくれる命の玉ってやつだ。

どこにつけといても入れておいても発動するらしいから!」俺

「これはお前が持っておけよ!」シグ

「いや、俺はお前に持っていてほしいんだ」俺

「ランド・・・可愛い奴だな!!」シグ

グリグリと頭をなでられる・・・。

「オッサンにこんな事するんじゃない!」俺

「見た目可愛い子供だからいいんだ!」シグ


道は石畳へと変わり、王都へ近付いてきていることを示していた・・・。

「ソロソロだが緊張してきた!」シグ

「ば!!尻に異物感が!!お前は緊張すると膨張するのかよ!!」俺

「へ?皆するだろ?」シグ

「しないだろう!」俺

「うそだろ・・・俺だけなのか・・・?」シグ

ははは!!おもしれえ奴だ!

ようやく決戦の時だ。

冷静に行くぞ!!淡々とだ、淡々と・・・よし。

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