絵と少女 001

まだ僕が小学生だった時。

いつも教室で授業が終わっても席を立たず、黙々と自分の趣味である絵を描いていた。

ずっとそんな調子だったため、友だちは少なかった。

絵を描くことは好きだった。

しかし、それは書いている間集中できるからであって、幼い僕には絵の良さなど分かる由もなかった。


夕日が射す中、下校道の途中にある橋が見える川辺に普段見かけない女性が座っていた。

その女性は手に鉛筆とスケッチブックを持って、どうやらデッサンをしているようだった。

どんな絵を描いているんだろうと気にはなったが、話しかけることはできず、その日は帰った。

そして、3日ほどその下校道であの人が真剣な眼差しでデッサンに取り組む姿を見てきた。

今日もあの女性がいるのだろうかと思い川辺に目をやる。

その日はいないようだ。

絵が描き終わり、どこかに行ってしまったのだろうか。


「そこの少年」


いきなり背後から声をかけられ振り向く。

背後にはいつもあそこに座っていた女性がいた。


「少年。私の絵に興味があるの?」

「えっと………」

「恥ずかしがるなよ。どうだい?見てるだけだとつまらないだろう。今度私と一緒に絵描いてみないかい?」


これがあの人との出会いだった。

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