血塗られた魂 002
下校途中、たまに通る山手の近道。
住宅街の裏と山の間にある近道であり、夕方にここを通ると周りの木々から漏れる薄暗い光が差し込んでいる。
僕の家は住宅街から少し離れた山手にあるためこの近道をよく利用している。
自分以外でこの道を通っている人はほとんど見ない。
いるとしたら、学校近くの商店街の近道として通る地元のおじいさんぐらいだ。
近道といっても表通りと対して変わらない距離だがたまに通るのは、恥ずかしながら、少し隠し通路みたいで少年心が湧くからである。
そういえば、この山が今朝の……
ドスッ!
「なんだ!?」
山のほうから何か大きな音が聞こえた後、その物音と共に山から黒い物体が目の前に落ちてきた。
黒い物体はとてつもない異臭を放っており、吐き気がする。
獣臭と血の匂い……もしかして……
突然のことで混乱していると、また山から物音が。
茂みから腰の位置まで髪がある美少女が現れ、こちらを睨む。
服は我が福竜院高校の制服を着ている。
「ここで見たことは忘れなさい」
少女がこちらを見る目が一瞬人間のものとは思えない程の殺意を感じ取った後、少女の背後に黒い靄が見えた。
次の瞬間、少女が茂みの中に戻っていく。
「おい!待て!」
僕はその子を追いかけるために茂みを越え、山に入ったが、少女は山道の複雑さや木々の影に隠れるなど山の地形巧みに使い、撒かれてしまった。
これほどの手際で巻かれるとはこの山の地理を掌握していると思われる。
やはり今朝のニュースの現場の山からあのタイミングで出てきたことも考えると少女と事件に何か関係があるというのか。
日が陰り、辺りが暗くなってきた。
これ以上探してもあの少女は見つけられないだろう。
あの異様な靄がどうしても放っておけないと本能が言っているが、諦め家に帰った。
その日の深夜
「あやつ窓も閉めず寝ておるとは阿呆め」
少女がある家に侵入し、忍び足で近づく。
「あれを見たのが運の尽きだったのう」
少女は夕方出会った少年が寝ている布団の元へ行く。
そして腰の刀を抜き、布団に刀を突き刺す構えをとった。
「さらばだ」
キーーーーンッ!
「なにっ!」
そこには少女の刃を防ぐ少年の姿があった。
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