憑き灯り

色塚京

血塗られた魂 001

『昨晩のニュースです。宵山の山中で獣の死体が多く見つかっているとのことです。

近隣の方は近寄らないよう注意してください。次のニュースは……』


「あっ、僕の家に近いな」


歯磨きをカシャカシャと心地よい音を鳴らしながら、ぼーっとテレビを見ていた。

少年は寝ぼけながら千鳥足で手洗い場に向かった。


ゴロゴロ……ペッ!


うがいをし、顔を洗うと、鏡で自分の顔を見た。

その時だけはさっきの寝ぼけていた表情が嘘かのように無くなる。


「お前には屈しない」


鏡に写る自分の顔を睨みそう言い残した後、制服姿で家を出た。



春休みが明けてから数日、校舎に囲まれてそびえ立つ桜の花びらが散る頃。

桜の花びらが教室に流れ、春特有の清々しい風が吹き渡る。

この時期になると、だいたいクラスの奴らは各々のグループを作り、友達ができ始めていた。

もちろん僕にも自然と友達ができると思っていた。


1ヶ月後

現段階での僕の友達はーーー

息を吸い、己の辺りを見回す。

結果、僕の周りに友達と呼べる者はーーー


「あの……すいません」


1人いた!


目の前に大人しそうな眼鏡っ子女子が話しかけてきた。

確か名前は藍宮瑠花。

あまり友達がいないようだが、いつも黙々と読書をしていて、ジャンルは脳科学や超心理学を見ている。そういった分野はとても普通の女子高校生が読むようなものではない。それに加え、たまに覗き見ると、かなり深く追求された本らしく、聞き馴染みのない単語が数多くあった。

こういう女子はミステリアス系の感じで普通の生徒とは一歩引いた存在と言ったキャラでこれからやっていくのだろうと思っていた女子であった。

学校で初めて話しかけられたのが女子というのは嬉しいものがある。


「こういう超心理学とかお好きなんですか?」


僕のクラス女子考察を頭の中で繰り広げていると、彼女から興味心身な目で質問された。


「そういう分野は少しだけ齧ったことがあるよ」


決してその場の勢いで言った訳ではない。

本当に超心理学や脳科学は少し独学で勉強したことがあった。

要は透視、テレパシー、予知、念力、サバイバルである。

大抵の人は透視、テレパシー、予知、念力などは一度は聞いたことはあるだろう。

なので、ここでは皆さんが疑問に思うサバイバルだけを解説しよう。

サバイバルとは肉体の死後も何かしらの影響が周りに起こることを指す。

こう言われても、なかなか理解しにくいのでは?

聞き馴染みのある単語で言うところの心霊現象だ。

この現象で引き起こされるのが、ポルターガイストや心霊写真などが主に挙げられる。

小さい頃はよくテレビ番組でそんなの見ても信じることはなかったが……


「あの……聞いてますか?」


おっと、相手のことを忘れていた。

最近1人でいることが多かったからかよく自分の世界に入ってしまうことがあるな。


「また今度ここじゃない所で話すことってできますか?」

「ここじゃダメなのか?」


瑠花が小さく頷く。


「学校では言えないことなので……それでは」


顔を真っ赤にして瑠花は自分の席に戻っていった。

恥ずかしながら今度言いたいことがある……これは告白なのでは?

なんの変哲もなかった僕の高校生活に好機が訪れる兆しが見えてきた。

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