第16話 ホテル


  高橋海斗(=ゲイザー・バニングス)は闘技場で得た金貨を元手にコールの街でホテル住まいをしていた。


 入手した金貨は10枚


 流通してる貨幣は金貨・銀貨・銅貨である。


 それぞれ100銅貨=1銀貨 100銀貨=1金貨となる。


 ホテルの宿泊費は1日で1銀貨なので当分は何もしなくても暮らせる。


 海斗がホテルを見つけて泊まろうとするとその装備品にホテルのオーナーが驚いていた。


 そして、海斗が10日ほど泊まると言って金貨を取り出すのをみてさらに驚いた。


 「ただモノじゃないね、あんた」


 「・・・」返事に困ってうつむいた。


 「私の名前覚えておいて、サモナって言うのよ」


 「あ、はい、オレは・・・ゲイザー・バニングスです」


 ホテルは5階建てだが海斗はその最上階のスイートルームに通された。


 1人でホテルに泊まることなどなかった海斗にとってはホテルというのはこういうものなのかと思えた。


 

 鎧を脱ぐ。


 フェイスガードと兜まである鎧だったので初めて外気に触れた気がする。


 鏡を覗き込む。


 金色の長い髪に碧眼へきがん


 背の高さは学園にいたことろ同じくらいだろうか。


 鎧の巨人に殴られた胴回りを見てみるが凹みどころかかすり傷もない。それでいてこちらの動きが制限されるほどの重さでもない。


 たしかに逸品いっぴんなのだろうと納得した。



 海斗がシャワーを浴びて部屋に戻るとそこには少女がいた。


 「リイナと申します」


 「あ、何?」


 「サモナ様からゲイザー・バニングス様のマッサージを仰せつかっております」


 「え?それしないとだめなの?」


 「だめということはありませんが、私が困ります」


 「あ、そうか、じゃあお願い」


 「はい」


 そう言うとインナー姿の海斗に少し照れながらもリイナはマッサージを始める。


 思ったよりも相当筋肉を使っていたのだろうか、リイナのマッサージが気持ちいい。


 頭・首・肩・腕・背中・腰・おしり・足と丁寧に力強く揉まれる。


 いつしか、海斗は眠りについていた。

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