第2話 帰り道


 4人の挨拶が終わった後にクラスの40人の挨拶があり、それが終わった後はクラス委員以外は解散となった。



 担任に呼ばれて4人は最初のクラス委員会合を行う。


 クラス委員以外の役職についてはクラス委員が決めることになる。


 役職を断ることもできるが、必ずどれかクラスの役職には就かなければならない。


 40人の名簿を担任の小岩から渡されると4人は検討に入る。


 「だってこの人は!」千園が高い声を上げる。


 「僕はこの人がいいと思う」凛は少し低い声だ。


 「俺はこいつの方がいいと思う」海斗が言うと迫力がある。


 「自分は、まあ、彼かなあ」悠はいつも冷静だ。


 4人が最初の会合を行って分かったのは意見がバラバラだということだ。


 夜の8時までかかってどうにか原案をまとめて職員室にいる小岩に持っていく。



 「ご苦労様」


 そこで4人の一日は終わった。



 外はもうかなり暗くなってしまった。


 悠が千園を、海斗が凛を送ってあげることになる。


 悠と千園は小学校から同じだけあって住んでいる所は至近だ。


 上尾駅まで歩いて、そこからJRで大宮駅へとなる。


 逆に海斗と凛は若干距離があるがそれでも隣の中学だけあって家の距離は直線で2キロくらいだ。



 「悠」


 「あ?」


 「いつもありがとうね」


 「何をいまさら?」


 「大切なことはきちんと言わなくちゃ、いつ言えなくなるかも分からないじゃん」


 「考えすぎじゃ」


 「うん・・・」

 

 

 

 海斗と凛はほぼ初対面で緊張していた。


 凛は自分の身長が高いことをコンプレックスに思っていて海斗みたいな人が彼氏だったらなあと何となく考えてしまい顔が自然と赤くなる。


 「高橋君」


 「あ、海斗でいいよ」


 「じゃあ海斗君」


 「なんだ?田中」


 「凛でいいよ」


 「あ、了解、凛」


 「海斗君ってなんで部活しないの?」


 「あー、なんか上下関係とか苦手でさ」


 「そうなの?」


 「うん、偉そうにしてくるやつとかまじ無理なんだよね」


 「そんな風に考えるのか」


 「凛はずっと剣道やってたら上下関係厳しくて当たり前なのか」


 「厳しいっていうか、まあ馴れちゃったかな、はいはいって言ってればいいし」


 「そんなものなのかなあ、俺はよくわかんないや」そう言って長い髪を掻く。


 徒歩で20分くらいだろうか凛の家の前まで来て2人は別れを告げる。


 海斗は周りの道をマップで確認した。


 この後何回となく通ることになるだろうから。

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