【  章紋のトバサ  】 オロボ46様

【タイトル】【  章紋のトバサ  】

【作者】 オロボ46

【ジャンル】 ホラー

【読んだ話数】「第4話 真夏の雪降る、裏側の世界」まで

https://kakuyomu.jp/works/1177354055311624778


 最初に思ったことは世界観が独特。

 冒頭に主人公が見る夢。それからして不気味です。どこか夢と現実の境界線が曖昧に感じられ、いまいち主人公も信用できないのは私が警戒しすぎなのでしょうが、それも含めて他にない雰囲気を作り出しています。

 好きな人はものすごく好き。という癖になる作品です。


 物語は主人公が親元を離れ、二足歩行のウサギ、マウと共に鳥羽差市に引っ越すところから始まります。

 二足歩行のウサギという点で可愛い。となるところなんですが、なんとなく不気味に感じるのは紋章の存在。

 この紋章というのは体に埋め込むことでさまざまなことが出来るようになる便利道具のようなものらしく、これによりウサギも二足歩行に、車も自動運転。便利……いやでも、なんでもありすぎて冒頭だけだとただの便利道具なのか物語のキーなのか判断がつきません。冒頭のシーンにも紋章が描写されていたことからもなんとなく警戒してしまいます。


 そのうえ主人公が引っ越す場所もなかなかいわく付き。なんと十年前に未解決のバラバラ殺人事件が起こっています。

 その事件を調べることで自身の存在理由を確かめる。そう主人公はいっているわけですが、具体的に事件とどう関わりがあったのか明言されていません。

 事件の生存者なのかと思えばそれも違うらしく、ではなぜ?と読めば読むほど疑問が増え、物語の世界に引きずり込まれます。


 物語の設定や展開ももちろんですが、面白いと思ったのが「下書き共有ギミック」です。

 下書きの共有が出来る機能、しっていてもなかなか皆さん使っていないのではないでしょうか。私もほとんど使っていません。

 それを作品に組み込んだのが本作。その発想はなかった。すごいと思いました。

 メモで主人公がしっている情報、主人公が考えていることなどがまとめて見られるのはとても便利です。一緒に謎をといている感覚が味わえます。


 なかなか類を見ない読書体験。味わってみるのも一興かと思います。

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