第37話 ランチで恋バナ⁈Ⅱ
レイ様から逃げる口実を作る?
そうかもしれません。
ガーデンパーティーで出会ってからローズ様をはじめ王族の方との関わりが増えて、環境の変化について行けてないからかもしれません。
レイ様も同じです。元々雲の上のお方だったのに、親しくお言葉を交わすことなど考えられませんでしたから。
できれば遠ざかる方が楽なのにと考えてしまう自分がいるのです。
一人では断ることができないからディアナに頼って……
なんて卑怯な考え方なのでしょう。
「ディアナ、私はどうしたらいいのかしら?」
「流れに乗ってみるのもいいのではないの? そんなに悩む必要はないと思うわよ」
「流れに……」
ディアナはサラッというけれどそんな簡単な思考でいいのかしら? 相手は王子殿下ですよね。
「それとも、なに? レイニーを見たら身の毛もよだつほどの恐怖を感じるとか、弱みでも握られて脅されているとか? もしかして……そうなの?」
「ディアナ‼」
彼女の突拍子のないセリフに驚いて大きな声で叫びました。
想像力がたくましすぎます。どう考えたらそんな思考回路になるのでしょう。レイ様に悪印象なんてないのにレイ様がかわいそうすぎます。
「なあに」
もう、ディアナったら。
ひどいことを言った当の本人はのほほんとした返事を返してきます。
「恐怖だとか弱みだとか、そんなものは一切ないわ。変なふうに誤解しないでね。聞いていればさっきからレイ様への印象が悪い方へ悪い方へとエスカレートしてるみたいだけど、どうしてなの?」
場合によっては、私だって怒りますよ。レイ様はちっとも悪くないわ。
「どうしてって、フローラがレイニーから離れよう離れようとしてるみたいだから、レイニーが嫌いなのかしら? それともレイニーが嫌われるようなことをしたのかしらって思って、心配して言ったのよ。不快なことをされたのなら即話してちょうだい。国王陛下に報告して王子の不始末を謝罪させてもらうし、レイニーにはフローラに近づかないように厳重に注意するわ。で、どうなの?」
「ディアナ……」
私は一瞬言葉を失いその代わり大きく息を吐きました。
発想が飛躍しすぎてどう反応すればいいのかわかりません。
答えを待ちながら興味深げに私の顔をじーと覗き込まないでください。
やっぱり……私の言動がいけなかったのかしら?
レイ様は良い方ですし好ましく思っています。ただ王子殿下ですから一定の距離は必要だと思っているだけです。決して嫌いではありません。
「レイ様は優しいお方ですよ。不快なことは何もされてませんし私のことを気遣って下さいますから、何も心配することはないですわ。ディアナの考えすぎです」
ここは、きちんと話しておいた方がいいですよね。私のせいでレイ様が悪く言われるのは悲しいですもの。
やたらと抱っこしたがったり、隣にいたがったりすることはありますが、嫌悪感はありませんし居心地も悪くはありません。
時々人の話を聞かなかったりからかわれることはありますが、そこもたぶん許容範囲でしょう。
「そうなのね。フローラを信じるわ。印象が悪くないのであれば、これからもよろしくお願いするわね」
「わかったわ。何ができるかわからないけど私の方こそお願いします」
ディアナが深々とお辞儀をしてお願いするものだから、そう答えたのだけど。それって、正解だったのでしょうか?
うまく丸め込まれたような気がしないこともないのだけれど、果たして大丈夫だったのかしら?
しかしこの日、邸に帰ってからこの時のことを思い出して、ディアナがしてやったりと爆笑していたとは夢にも思いませんでした。
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