第9話最強のアサシンになりたくて!

「さて!じゃあ修行の続きよ!」


「えーーーー」


「えーーじゃないの。新しい任務までにそんなに時間が無いんだからね…?」


ミアが指を立て、その場に体育座りで右ノーズに指を突っ込み、黄色い鉱石を採取している俺に言った。


ー俺は今、屈辱しか無かったランチを終え、再びミアと共に練習場に来ていた。


「ちょっとゆうや…あなた手を洗って来なさいよ…」


そんな俺を見て、ミアが引き気味に言ってくる。


「まったく女子は分からんのかこの重要さが。まったく、本当にまったく…」


言いながら、俺の人差し指の上に鎮座している黄色い鉱石を練って、後ろにポイする。


「キャッ」


するとミアは、あからさまに悲鳴を出して。


「なんだよミア、女の子見たいな声だして」


俺が言うと、ミアはロウソクの明かりか、それとも照れからか顔を赤くして。


「私だってれっきとした女の子よ…!って言うかあなたさっき女子って自分から言ってたじゃない!」


…………。


「…言ってない」


「言ったわよ!」


言いながら、ムムムムムム!と毛を猫のように逆立てるミア。


全く、子供見たいにはしゃいじゃって。可愛いヤツめ。

しょうがない、ここは俺が大人になるとしよう。


そう父性丸出しで強く決意した俺は。


「ミア!しっかり練習しないとダメだぜ?」


「こっちのセリフじゃぁぁぁぁぁ!!!」


その後、俺はミアに頸動脈をバッタンキューされ、自室に逃げ戻るのであった。


ーー翌日


「ふっ…今日もいい朝だな。朝から女々しい小鳥達が騒いでおるわ」(特に意味は無し)


言いながら俺は、自分より早起きな息子をなだめ、自慢の健康志向朝食を食べるためピンクのパジャマからピンクの服に着替える。


いや〜今日は本当にいい日だ。

窓からの陽光にあたり、1人気持ちよくなっていた俺に、突如、聞きなれた轟音が聞こえてきた。


ゴンゴンゴンゴン


「ゆうや!起きてゆうや!」


けたたましくヒノキの扉を叩く音と共に、聞きなれた声が。


「なんだよ…」


俺は気持ちよくなって来ていた所ーーまた眠くなってきた所を邪魔され、グダグダと文句を言いながら自慢のヒノキの扉を開ける。

と、そこには何やらご立腹なご様子のミアが。


「もう!何やってるのよゆう!もう朝よ!!」


「あぁ…寝る時間だな」


「違うわよ!」


もう朝だと言うのにミアは何故か目がバキバキである。


「まったく…自慢のヒノキ扉を叩かないで欲しいね」


「えっ、これ木製なの…?」


あぁ、この光沢に木製であるかどうかも分からんか。

さすがヒノキ。

永遠の忠誠を誓うぞ。


「そりゃもちろん。こんなに光沢があるんだから見間違えるのも無理は無いわな」


そして俺は、しかもと付け加えて。


「しかもこの夏に必要ひんやりさ…!しかも見よ!この色味を!淡い橙に白銀の艶!これは正しく高級ヒノキ!!!」


そこでミアは、何故か呆れた様にため息を着いてから。


「あなた金属光沢って知ってる…?」


学年ワースト1位の頭脳を舐めないで欲しい。



ーーそして


「で、どうしたんだよ」


俺は改めて、目の前で頭を抱えているミアに問う。

するとミアは、ハッと思い出した様に。


「そうよ!緊急で任務が今日になったわ!だから早くそのパジャマ着替えて!」


そう言って、早く早くと急かしてくるミア。


いや、これは普段着なのだが。

…そんな事より。


「今日?今から?」


「今から」


「えっ、マジで?」


「マジで」


俺の言葉を反復するミア。

いやそんな事より、不味くないか…?俺何も対策していないのだが………………。


でもま、いっか〜。


そう思った俺は、勢いよく存在しないマントを翻しながら。


「ふっ…今日こそ俺の実力を示そうぞ…!」



声を張り上げてそういった。

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