第5話最強のアサシンになりたくて!

「ーーそれで忘れ物を取りに自分のロッカーへ行ったら!なんとゆうやが私のロッカーに向けておしっこしてるんですよ!しかも(あまり俺に近づく手元が狂ってしまうかもな…ふっ…)とか言って、あろう事か脅しまで!」


「い、いやそれは…」


「うるさい黙ってろ変態!!」


「うっぅ……」


俺は女性に言われた通りに黙りこむ。


俺は今、ボスの間(召喚された場所)で、正座をしながら、ボスに食い下がって証言する女の人の言葉を聞いていた。


その理由は、なんとトイレだと思っていた所が、女アサシンのロッカーだったらしく、そこに躊躇なくおしっこをし、しかもあろう事かタイミング悪く俺が【独り言】(脅しじみた事)を言った事だとか。


ハァハァハァ…


俺は、息切れで言葉を詰まらせた女の人の言葉のスキを逃さずに、すかさず弁論を仕掛ける…!


「俺は悪くない」


「ぶっ殺してやるっ!!」


俺がポツリと吐いた一言に、気の毒な女の人が、そう言って俺の胸ぐらを掴みかかってくる。


「ま、まぁ待て。何もそんなに怒らなくても…」


「はぁ?!ふざけんなよクソジジイがっっっ!今んとこお前しか面倒なボス役やんないだけで代わりなんていぃくらでもいるんだかんな!!」


ボスがそんなとばっちりを受ける中。


「俺は悪くない」



「なんだとおらぁぁぁぁ!貴様他人の私物に小便掛けといてなにを言っとんじゃクソがァァァ!」


全然考えを改めない俺に、ついに女の人は俺の首を両手で締めてくる。


「なっ、暴力ーー暴力だーー!」


そんな感じで俺と女の人が揉めていると、これは収集が付かないと思ったのか、先程までボロくそ言われていたボスが口を開いた。


「ストぉーープ!」


「…?」


「はぁ…まだデスファングに入って1年しか経っていないというのに…君はやってくれるな…」


そしてそこで、はぁ…と頭を抱える様に言ってから。


「どうしてロッカーにおしっこしたんだ?」


と、聞いてきた。

そんなボスの問に、俺はハッキリと。


「ふっ…この漆黒は俺のゴットアイ(神の目)でも見通せなかったという事よ…」

(暗くて全然見えねぇんだよ!お前らもそこそこ暗殺家業で稼いでんだからトイレにくらい照明つけろやボケ!)


「こんのーーー!」

女の人はなおも俺の首を絞めてくる。


そしてそんな俺の言葉を聞いたボスは。


「そ、そうか…はぁ…」

と、ため息を着いて。


「まぁそうだな…ゆうやは暗視スキルをまだ取得していないから仕方ないか…どうだミア…?同じ男として、許してやってはくれないか…?」


と、ボスが本当に一流アサシン達のボスなのかを疑う程に、らしくない言葉を言ってきた。


そんなボスにミアは、流石に謙虚に……


「はぁ?!ふざけんじゃねぇよ!ってかお前いつもおじいちゃん用のオムツ履いてんだろうが!それで同じ男としてとか図々しいわ!!」


ならなかった。


そしてついにボスがしくしくと泣き出す。


そんな様子を見た俺とミアは、流石にまずいと思い、黙って正座をし、ボスに向き直る。


「あ、あの…ごめんなさい」

「お、俺も…すいません」


そんな俺達の謝りが効いたのか、ボスは顔を覆っている両手から目だけを出し、まるで子供の様に。


「本当に思ってる…?」


と、聞いてきた。


「も、もちろん!」

「あ、あぁ!」

(キモっ)


「ぅぅ…許す…」


「キモ」

「バカ!」


俺がボソッと小声で言うと、隣に並んで正座しているミアに、頭をボコっと叩かれる。


「ね、ね?ボス。私達反省してますので…」

「そうそう」

ミアの言葉に同情すると、「お前はもう黙ってろ!」と、ミアに脇腹をつつかれる。


「なんでもするので…どうか気を落とさずに…」

そう言って、気を取り直したように言うミア。


そんなミアの言葉に、納得したらしいボスは、ふと。


「じゃあ…ゆうやの面倒見てあげて…?」


と、言ってきた。


「………………………は?」


ボスの言葉を聞いたミアは、聞き間違いかと、聞き間違いであってほしいと、願いを込めて聞き返す。


そんなミアに俺は。

「よろしくな!新しい相棒(バディ)!」


と言った。


「は?!そそそんなもん無理に決まってーー」


「ダメ…?」


「…キモ」

「おい」


ボスの言葉に、ミアは怒りからか本音が漏れる。

俺はそんなミアの本音を、ボコっと頭を叩き、相殺してから。


「分かりました!」


と、元気に言った。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」



という訳で今日、新しい相棒が出来ました。

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