第3話最強のアサシンになりたくて!
「よく来た…我が子よ…」
真っ暗な空間から、男の声が聞こえてきた。
なんだ?
もしかして俺、異世界転移した?
そんな感じで俺が、キョロキョロと目を動かしていると。
「戸惑うのも無理は無い…今しがたお前は」
「転移したんですよね?」
「…」
ゴホン
途中で言葉を先読みれた男が、気を取り直す様に。
「なぜそう思うのだ?」
と、聞いてくる。
「ふっ…俺程のラノベ愛好家なら当然ですよ」
そんな男に俺が、透かしたように自慢していると。
「ら、ラノベ?そのような物は知らないが…」
先程までの威圧と迫力はどこえやら。
その男の言葉に、どこに居たのか、俺が居る場所の全方位の暗がりから、多数の人がザワつく。
(ちょっとちょっと、ボスが知らない事ばかり言ってるぞあの新人)
(新人が凄いのか?それともボスが落ちたのか?)
(そんなのボスが落ちたに決まってんだろ)
(えっそうなのか?)
(あぁ。最近ボス、寝る時にオムツ履き始めたらしいぞ)
(えっ、オムツってあの…?)
(あぁ、あの年寄りが履く方の奴だ)
(そりゃもうダメだな…)
(あぁ、しかも奥さんから炭水化物の量も制限されているらしい)
(マジか…)
(ちゃんと健康診断行ってんのかな…)
(バカ、アサシンが健康診断なんて恥ずかしすぎて行けないだろ)
(あぁ、なるほど。そうだな)
結構な事をぬけぬけと、手下と思われる人達に、言われるボス。
「ふっ…ボスか…俺もこれからそう呼ばせて貰おう」
暗くて分からないが、今のボスの気持ちは分かる。
恐らく『死にたい』と思っている事だろう。
そんな悪口にボスは、
ゴホン!
と、先程より、より一層大きい声で言ってから。
「では、我が子よ…我がお前をここに呼んだ経緯を説明しよう」
「アサシンにする為ですよね?」
「…」
「?」
俺が、フライングの答えを待っていると。
(おい、ボスが押されてるぞ)
(やるなあの新人)
(もしかして天才なんじゃないか?)
(バカなだけだろ)
「ふっ…天才…か。そう言われていた時期もあったな」
最後のつぶやきだけを無視して、暗がりで見えないにも関わらず、右手を顔に被せながら、かっこよく言う。
手を顔に当てる際、暗くて距離感を誤り、人差し指が目にズボっと入ったが、そんな事は気にしない。
そんな部下達の声を聞いたボスは、もう半泣き声で。
「お主を呼んだのは他でもない。お主には最強のアサシンになって貰いたいと思う」
と、俺と周りの人達の言葉を無視して、先に答えを言った。
「なんだ、合ってたじゃないか」
俺はそんな事を思いながら、男の言葉を聞く。
「ふっ…まぁ最初は戸惑うだろう。なに、ゆっくり慣れて行けばーー」
「分かりました!」
「……………………………え?」
「やります!アサシン!」
「え?」
と言う訳で、俺、村上ゆうやは今日から、アサシンになりました。
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