惑星×SF×幻想×拗らせ思春期×ブロマンス×愛×死生観。情景も美しい。

3話からヒロインを始めとした個性豊かな惑星の皆さんが出て来て、どんどんこの世界に引き込まれていきました。

分類するなら現代ファンタジーなのかもしれないけど、個人的には幻想チックなSF旅物語という印象でした。SF特有の硬い読みづらさは少なめで、ファンタジックな情景を交えつつ、星の擬人化されたキャラクター達と交流し、主人公の彼が生と死を見つめて成長していくストーリーです。

旅をして人と関わって成長していくってのは王道ですが、ともすると暗くなりすぎたりもするところを、主要人物の大半を惑星、恒星の擬人化された星達とすることで、情景を幻想的に、ドラマや語られる愛情を重いというより壮大に仕上げている作品だと思いました。

キャラがみんな好きだなぁ。出だし第一章のバルドさんは話の掴みの章として切なくも良い流れだったし、アルテミスは色々ぶっ飛んでて面白いヒロインだったし、グレンさんは優しくてぶっきらぼうで可愛い男子だし。

……っていうかグレンさんと主人公、下手するとアルテミス以上にガチのガチすぎやしませんかねぇ!?最初はデカいし言葉がきついし苦手だ~みたいになってた主人公が彼を庇おうとしたり。(そして逆に庇われたり)、終盤は大活躍だし、最後の別れもあのガチのガチのブロマンスはなんですか!?アルテミス相手以上の強烈な愛の告白じゃん……やだ……好き……。ここまで読んだ私へのご褒美過ぎました、ありがとうございます。一番気に入ったキャラだったので……。グレンさんの「んー?」、癖になって好きです。てか全体的に見ると男子相手のがモテてるよね、主人公。

それはそれとして、アルテミスと主人公のまとめ方もとても綺麗でした。星と人間らしい、素敵な終わりと愛の交わし方だったなって思います。

バトルシーンすら幻想的(主人公が戦うわけじゃないけど、そこそこあったので驚いた)で読み惚れてしまう、幻想チックな成長物語でした。主人公が拗らせ気味だったからこそ、途中途中の成長後の文章が良い味出してるなって思います。