第163話 作者は誰?

千三百年前に日本で女性問題を指摘していたのは、先見の明があまりに早いのに驚かされる。竹取物語は、今の日本の問題をはるか昔から糾弾している。そして、この問題の根深さと深刻さを今の日本人に突きつけている。

竹取物語の話は、今こそ真剣に向き合わなければならない問題の根本を解説しているのだ。そして、この奈良時代の血生臭い権力闘争や不条理なしきたりを断罪した告白の書、竹取物語や浦島太郎の作者は誰だろう。

この二つの作品の作者は相当に文字の知識があり、また世界中のありとあらゆることから日本の細かいことまで熟知する幅広い視野をもつ人物である。また五人の貴公子に要求したものも、当時日本ではまだ知られいない海外の珍しいものや今でいうアスベストのようなかなり幅広い視野をもつ人物である。

そして宮中の知識や政治のことまで知っている人物となれば、吉備真備しかいないだろう。

吉備真備は遣唐使で渡中国の経験があり、その中でも高い学識のある人物であった。また長い間政治にたずさわり、失脚や左遷も経験し、最後は右大臣にまで昇りつめ、名門氏族でない人物としては異例の出世をした。

彼は、政争の酸いも甘いも知りつくしていた。そして真備は、当時としては老境といっていい六十歳となっていた自分を「暗い思惑」によって遣唐副使として送り出した仲麻呂を恨んでいた。

また、彼は藤原の女人たちである藤原宮子、光明子、称徳とも深く関わり、栄光の影にひそんだ彼女らの苦悩をよく知っていた。

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