第8話

「広虫は遊び相手ではありません。侍女です。

広虫とは仲良くしてもかまないけど、距離をとる場面ではきちんと保ちなさいよ」


「すみませんお母様、広虫は何も悪くありません。

私の自覚がたりませんでした。これからは気をつけます」


「まあ、怒ってるのではないですよ。

若いうちはいろいろな身分の人と会って話すのも悪い事ではありません。

ただ友達としてはもう少し幅をもたしたらよいでしょう」


光明皇后はこういって奥に下がった。内親王は広虫に謝った。


「ごめんね。広虫、母も悪気があっていってるのではないの。

私が悪かったの。許して」


「いいえ、私は大丈夫です。気にしないでください」


二人はこういいながらも結局仲が良かった。内親王は、広虫以外にも友達として数人の名門氏族の子女がいた。

しかし、彼女らは貴族の地位を自負し打算をはたらかせて会話や行動し、内親王はそんな雰囲気が好きでな

かった。彼女はその友達らとはうわべだけの付き合いとなり、会うのも憂鬱となっていた。

しかし、母の光明皇后はそんな彼女の様子にお構い無かった。光明皇后は内親王が成長し、この付き合いもいずれ慣れ楽しくなると確信しているようだった。内親王も、母の期待に添えるよう必死に頑張った。

広虫はそんな内親王は名門氏族の子女と遊んだ後は、広虫とその時の内容を報告し相談した。広虫はその話で朝廷の事情などが何となくわかってきた。

なかなか朝廷はややこしいが、広虫にも理解できた。広虫には関係のない世界ではあったが、内親王には内親王の苦労があって内親王も大変なんだなぁと、広虫は思った。

しかし、内親王にはそんな気持ちはなかった。彼女は、ただ自分の運命として受け入れていた。

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