第7話

「綺麗な花輪だね。よく似合ってるじゃないか」


「やだ恥ずかしい、見ないでよ。あっちいてよ」


内親王は、聖武天皇に遊んでいる姿を見れるのが嫌だった。聖武は残念そうに去っていた。

広虫は、その間ずっとかしこまって平伏していた。聖武が見えなくなってから内親王はいった。


「もうお父様は、デリカシーがないんだから。

まあ悪い人じゃないんだけど、もうちょっとたよりがいがあればカッコいいんだけど」


「今上天皇も内親王にかかれば、ただのお父様ですね。

仲が良くて羨ましい。

私も、あんなお父様が欲しいです」


「あ、そうだった。

あなたは、お父様に会いたくても会えないのに父の話をしてごめんなさい」


「そんな、私もう大人ですよ。

私は父に会えなくても、阿部様や多くの人に目をかけて頂けて大変幸せです」


「広虫は強くなったわね私も見習わなくっちゃ、私もあなたの真似して頑張るわ」


「真似だなんて、恥ずかしい。

私の真似なんて信じられない。

ただ、とっても光栄です」


「また大袈裟ね、私は本気よ」


「また、変な事を言わないでください」


「わかったわ。もうあいこにしましょう。

それでいいでしょ」


「もう参りました。私はは阿部様にはかないません」


「まいるだなんて、広虫あなたは私に負けすぎです。もっと戦ってよ。遠慮は無用です」


「私が阿部様に戦うなんて勘弁してください」


「もうあなたにはかなわないわ。

わかりました。今日はこれくらいにしときましょう」


内親王はそう言うと、住まいである宮殿に帰ろうとし、広虫も後に続いた。宮殿に戻ると内親王の母の

光明皇后が待っていた。内親王は光明皇后に挨拶をした。


「ただいま、お母様」


光明皇后は、すかさず言った。


「お帰りなさい。

今日は庭に出て遊んいたようですが、あなたももう大きくなったのだから外で遊ぶのも控えなさいね」


「分かりましたお母様」


「まあ、外で散策するくらいはいい刺激になるし大賛成ですよ。

私も若い頃は、いろんな場所を見てまわったて遊んだものです。」


光明皇后は、そう言って微笑んだ。

内親王は、聡明で時に大胆に行動する母が大好きで、同じ女として尊厳していた。

しかし、広虫は光明皇后が苦手だった。光明皇后は阿部に厳しいだけでなく、広虫には最も厳しく指導していた。しかも、広虫の出身にまで気にしているようであった。

出身地を変えられない広虫にとっては、辛いことであった。

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