第47話
「ぷーっ!!」
堪えきれずに観月は吹き出した。
「何それェ、ソラ君おっかしーい」
「神聖な道場でコスプレ弓道やっている奴に言われたくないわっ!!」
「だって、ぷぷぷ」
「すみません、すみません、すみません」
笑いが止まらない観月と、ひたすら頭を下げ続ける佳乃。
「くっ、とにかく行射は中止」
対照的な2人を放置して、空良は近くに居た詩織と三杉を掴まえた。
「元に戻すんだ、昼までにな」
「は、はい」
「それと、後であの2人に伝えてくれ。生徒会室に出頭するようにってな」
「分かりました」
ぶーぶー言っている観月と青ざめた表情の佳乃を残して、空良は踵を返した。
空良の介入によって勝負に水を差された感じとなった観客達が、ぞろぞろと引き揚げて行く。
「ど、どうしよう観月ちゃん」
「なにこの世の終わりみたいな顔してるの、よしのん」
観月はケロッとして言った。
「お祭なんだから、多少の無茶はオッケーでしょ?」
「いや、多少じゃないような」「そうだね」
後ろで片付けを始めていた詩織と三杉が呟く。
「と、とにかく元に戻しましょう。空良先輩の所にはそれから伺うと言う事で」
「めんどいなぁ」
まだグズグズ言っている観月の背中を押して、佳乃は残りの部員達にも指示を出した。
「何だか楽しそうね、空良君」
先に歩いている空良の背中に、真琴が声を掛けた。
「ん、そうか?」
確かに口元を綻ばせていた彼は、真琴にも聞こえる位の口調で言った。
「あの場ではああ言うしかなかったけど」
言葉を続ける。
「予想外の事は、嫌いじゃ無いんだよ」
「意外と保守的じゃないワケね、会長サマは」
それは、彼女達とのベースに信頼関係があるから言える事なんだろうなぁと思いながら、真琴は腕時計に目をやった。
ミス都高の最終確定迄、あと4時間弱。
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