第48話

 結局、弓道場設備内の使用は禁止されたが、カフェ自体は体育館隣の空きスペースに移動して継続可能となった。

「何だか中途半端な裁定だったね」

 不思議そうな表情を浮かべる観月。

「多少ハメを外すのは見逃すけれど、決められたルールはちゃんと守りなさい、って事なのかな」

 佳乃は一応彼女なりの解釈をしていた。


 先程二人は道場の片付けを終えてから生徒会室に出頭、その場に居た書記長から前述の通達を受けたのだ。


「まあ店を出せるならOKね。まだまだ勝負は終わっていないわよ、よしのん」

「そうね、一緒に頑張りましょう」

「なんか戦闘意欲が失せる返答だなぁ~」

「いいじゃない、楽しく楽しく、だよ」

 その時、二人の耳に校内放送が聞こえて来た。


『1年E組、月島佳乃さん。1年D組、吉田観月さん。お伝えしたい事がありますので至急実行員会本部までお越し下さい』


「さっき隣まで行ってたのに~」

 がっくり肩を落とす観月。

「時間差の処分って、嫌がらせかしら」

「観月ちゃん、まだ怒られると決まった訳じゃないから」

 佳乃と観月は踵を返すと、今歩いて来た通路を戻り始めた。

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