第41話

「いらっしゃいませ」

 1-E

『秋まつり』会場は万全の準備を持ってスタート出来た事もあって、早くも賑わいを見せていた。

 アドバイザーである由美の指導もあって、催物自体にも魅力があった事もあるが・・・。


「似合ってるよ、佳乃ちゃん」

「は、はあ、そうですか」

 秋らしい紅葉柄の浴衣を着た佳乃は、少し恥ずかしそうに身を捩った。

 気のせいか、彼女の周囲から男女を問わずカメラのシャッター音が聞こえる。

「これでミス都高は佳乃ちゃんで確定かな」

「そんな事無いですよ」

 本日朝時点での得票数で、佳乃は暫定トップに立っていた。



「それより由美さん、凄いですねぇ」

 佳乃は改めて、振袖姿の由美を見た。

「こういう時に着ないと勿体無いじゃん。着付も本格的に習い始めたからね」

 将来はそちらの道に進む事を決めている由美は、むんと気合を入れ直した。

「さあみんな、二年連続グランプリ獲得に向けて気を抜かないで頑張ろう!!」

 オーッ、という声がそこかしこから上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る