第31話
「とにかく、もう写真部や印刷部の段取りも決まっているんだから却下は無しです」
「紺野は対象外だから余裕だな」
「うん、ホント去年じゃなくて良かったわ」
思いっ切り本音を口にした前年度ミス都高は、えへんと胸を張った。
「まあタスキ掛けで丸一日校内を歩かされるよりマシか」
何とか自分を納得させた空良は、静香の方を向いた。
「井隼、現在の得票数はどうなってるんだ?」
「はい」
静香はPCサイトを立ち上げて答えた。
「投票〆切は25日の16時ですが、現時点で投票率は55%です」
ミスター都高は予想通りの方がぶっちぎりですが、と前置きをして話を続ける。
「ミス都高は混戦ですね。正直まだ誰が優勝するのか分かりません」
「・・・と言うか、どこかで見た名前が3人ばかり見えるのは気のせいか?」
「はい、みんな圏内に居ますね」
「客観的だな、静香」
半分感心した様に、空良が感想を述べる。
「特に興味がありませんので」
しれっと答えた彼女は、眼鏡の縁を少し上げて言った。
「それに、もっと大切なモノの準備で頭が一杯なんですよ」
「・・・」
そう言って微笑った静香の姿に、空良と真琴は「?」と顔を見合わせた。
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