第32話
佳乃のクラスは秋都祭向けの室内装飾にほぼ目処が立った事から、実際の運営内容の詰めに入っていた。
ちなみにテーマは「秋まつり」
昨年最優秀出展賞を受賞した2年C組の「季節外れの夏祭り」復活の要望が強かった為、秋都祭実行員会の厳選な抽選の結果、彼女達のクラスが大役を受け持つ事になったのだ。
ちなみにアドバイザーとして応援に来ているのが・・・。
「あーそこ、本番ではもう少し大きめに膨らませないと簡単にすくわれちゃうわよ」
「は、はい」
「風船ヨーヨーも恋人も、程良く焦らす感じでネ」
「やだー」
女性陣の爆笑が起こる中、明らかにスリッパの色が異なる女子生徒がパンフレットを巻いたメガホンで指示を送っていた。
「ユミさん」
「ん?」
バンダナを巻いた当間由美が、屈託の無い笑顔で振り向いた。
クラスメイト達も、この上級生にただ言われるがままに動かされているのではなく、それぞれ楽しく作業を進めている。
「いいんですか?こんなに手伝って頂いて。ユミさんのクラスの準備もあるのに」
「あー大丈夫大丈夫」
由美はヒラヒラと手を振った。
「模擬店はね、料理家女子と器用系男子が揃っていれば何とかなるもんよ。その点ウチのクラスは本当恵まれているわ」
それにね、と言って彼女は佳乃の肩に手を置いた。
「こっちの方が楽しいからね。ちゃんと例のモノ届いてる?」
「は、はい」
「オッケ!」
由美はパチンと指を鳴らした。
「さあ、準備の出来た女子は更衣室に移動するわよォ!!」
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