第21話
「へっ!?」
思わず弓をずり落としそうになった佳乃は、彼女の真意を測りかねて聞いた。
「あの、言ってる意味が良く分からないんだけど」
「ま、しらばっくれるんですか!?」
岩井の眉がキッと上がった。
「最近御角先輩が親しくしている都高弓道部の女子って、あなたですよね?」
彼女は御構い無しで話し始める。
少し後ろの方で「あ・・・」と呟く静香の声が聞こえたような気がした。
「インターハイ準優勝の國府田さんが居るにも関わらずその貪欲さ、とても脅威に感じます」
「何かとてつもない勘違いをしているみたいだけど」
周囲の目もあるので、佳乃は優しく窘める様に言葉を返した。
「私達にも目指すものがある。だから先程の発言は純粋な勝負として受け止めますね」
「フン、それでいいわよ」
踵を返して、岩井はその場を立ち去って行った。
「・・・変な人」
でも、屋敷川は女子も強豪校。その中で1年生の有段者か・・・。
当然、団体戦にも出て来るんだろうな。
気を引き締めて行かないと。
「・・・で、静香ちゃんはさっきから何で私に向かって手を合わせてるの?」
「あ、いや別に」
巻藁矢をクルクルさせながら、静香はあさっての方向を向いた。
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