twenty all Ⅱ~ツキノヒカリ

黒珈

twenty all Ⅱ 第1部

第20話

 府立風ノ宮弓道場、本日快晴。

「うむ、やっぱり袴着ると身が引き締まるねぇ」

「観月はいつもたるんでるのか?」

「どこ見て言ってるのよこのスケベっ!!」

 他校の生徒がドン引きなのを気にせず、空良と観月が恒例の掛け合いをおっ始めた。

「ハイハイ、二人は無視してみんな集合」

 見慣れた様子の佳乃が、呆気に取られているメンバー達にパンパンと手を叩いた。



「いよいよ、お前達の公式デビュー戦だ」

 試合前のミーティング。

 シリアスモードに切り替えた空良が、真剣な瞳で語り掛ける。

「他の業務は残りの部員に任せて、今日は目の前の試合に集中してくれ」

「はい」

「OK]

「全力を、尽くします」

 三者三様の返答を聞くと、空良はうんと頷いた。

「それじゃあ3人は巻藁場に直行、あとの部員はこっちに集合だ」

「ハイ!!」



「都合ヶ丘高校の、月島さんですよね?」

「え、はい」

 巻藁練習の待機時間、佳乃は後ろに並んでいた女子選手に声を掛けられた。

 さり気無く彼女のゼッケンを確認すると、屋敷川の文字が見えた。

「私は、屋敷川高校1年の岩井満美子です。一応初段持ってます」

「はぁ」

 初対面で随分食い付く人だなぁと思っていた佳乃は、次の展開に全く付いていけなくなった。

「御角先輩の一番弟子として一言言わせて貰います。あなたには絶対負けない!!」

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