[三話]魔物と静かな町

城は目の前の小さな森を超えたところにあるらしく、アイリスはオリーブを抱え、ザクッザクッという音と共に城へと向かう。

しかし、オリーブが突如、『ワンワンワンッ!』と雄叫びをあげ、胸から飛び出し門のあった方へと走り出した。

アイリスは『どうしたんだい?』と聞くが、オリーブは『ワン』としか答えない。

オリーブが穴を掘ると、そこには耳が長く、アイリスよりも一回り小さく耳の長い真っ白なはずの生き物が埋まっていた。

その生き物は真っ赤で何かに食いちぎられたかのような様子で今にも生き絶えそうだった。

アイリスは『大変だ!このままでは死んでしまう。』と言い、オリーブと赤く濡れた生き物を抱え、城を目指し、森に入る。

息を切らしながら、しばらく走っていると後ろから『ワオーン!!』という少しばかり犬に似た魔物の声が聞こえてくる。

そして、ザッザッという足音がだんだんと大きくなり始める。

アイリスは振り返らず、必死に走る。

森を抜けると、目の前には鉄の柵で囲まれた町がある。急いで鉄格子の扉を開け、中に入り、すぐさま閉じた。

すると、その魔物は鉄格子の扉に噛み付き、『バウッバウッ!』と鳴き、恐ろしい目つきに尖った牙をしており、今にも噛みちぎってきそうだった。

すぐさまその場を離れ、よろけながらも町をさまよい、助けを求めた。

『誰かぁ!この生き物を助けてくれ!あの魔物に殺されかけたんだ!』

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