第16話

「あっ、でも幸せにはしますけれど、時々は怒らしちゃうかもしれないので、そこは許してくださいね?」


「はははっ、それは私だって同じだよ」


 ウィルが人差し指を立てながら、1つ言っておかなければならないことがあるなんて言ったから、お父様は身構えていたけれど、内容とのギャップにホッとしながら笑っていた。なので、私やお母様もつられてその和やかな雰囲気を堪能していた。


「ふんっ、いい子ちゃんのお姉様は、男もとっかえひっかえで良い御身分ですね」


 そんな私たちに水を差すようにリリスが顔をぷいっと横に向けて言う。

 先ほどの白い光で大分毒気が削がれてはいるはずだけれど、素直になれない様子だった。


「あなたも幸せにね、リリス。アレクもリリスをよろしくね。きっと、あなたたちはお似合いだから」


 洗脳なんて言葉を使ったリリスだ。

 誰かの指図なんて受けるのは嫌いなのは知っているから、言葉を選びながら私は伝える。

 私がそう言いながらアレクとリリスの二人を見ると、二人とも頬を赤らめていた。


「ふんっ」


 リリスは照れ隠しなのか悪態を付いた。まぁ、でも私を処刑までしようとしていたことに比べれば、丸くなったのだろうと、私は納得して、受け入れる。そんなのは妹の姉としての宿命だと思って寛大な心で大目に見た。そう私は、姉だ。リリスが捨て子だなんてことは私は知らないったら、知らない。


「・・・っ」


 私は姉だと思っているからと伝えたい気持ちもしたけれど、それでまた話がこじれる気もしたし、リリスの横顔は何か言いたそうな顔をしていて、どんな悪口が飛び出すのかなと少し警戒していると、


「あぁ、二人なら大丈夫だ。だって、ボクのビジョン」


 ウィルが違うことを喋って来た。


「良いの、そう言うのは」


「そう?」


「そうよ」


 ウィルが魔法を使って未来を二人に教えようとしたけれど、未来を知ってしまえば面白くない。

 それに二人を見ていれば、何となく想像がつく。

 アレクはリリスの尻に敷かれるかもしれないが、アレクはリリスみたいにしっかりおだてるくらいが調子に乗れていいでしょうし、リリスも昔から私の後ろに付いてきたのもあって、俺に付いてこいと言ってくるアレクに付いていくのがまんざらじゃないはず。


「まっ、そうだな。じゃあ、行こうかミーシャ」


「ええ。じゃあ、お父様、お母様。時々は帰ってきますので、よろしくお願いします。じゃあね・・・リリス」


「あぁ」


「気を付けて」


 お父様とお母様は手を振ってれる。けれど、アレクとの婚約の時と同じように不貞腐れていた。

 ちょっと、寂しかったけれど、これから輝かしい未来がまっているのだ。

 私はウィルと手を繋いで、ワープをしようとした。



―――その時

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