第3話

「これより、魔女っ、ミーシャの裁判を行うっ!!!」


(裁判って・・・)


 私は周りを目の前の炎を見ます。

 キャンプファイヤーもびっくりな大きな炎。

 この炎の使い道はただ一つ・・・


「有罪」


「有罪」


「有罪っ!!」


 アレクの親しい裁判官たちは声高らかに私に罪があると宣言します。


 カンカンッ


「全会一致で、ミーシャは有罪。よって、火あぶりの刑に処すっ!!」


(こんな簡易的な裁判なのに、ガベルは用意されるのですね・・・)


 一番偉い裁判官が、ガベルと呼ばれる木槌を叩いて宣言をする。

 外で行われた青空裁判。


「そんな・・・っ」


 無罪、もしくは減刑を信じてくれていたお母様が泣き崩れる。

 お母様はかなりやつれていたけれど、それを慰めるお父様もかなりやつれていた。


(ごめんなさい・・・お父様・・・お母様)


 私は目を閉じて、心の中で二人に謝罪する。


「ううううっ」


「よしよし、かわいいリリス・・・っ」


 アレクの胸で泣くリリス。それを慰めるアレク。

 

 ニヤッ


「はっ」


 私は見てしまった。

 リリスが私と目が合うと、勝ち誇ったように笑ったのを。

 

 これが妹のリリスが仕組んだことはわかっていたけれど、それは私の妹へ妬みで、私の被害妄想、悪いのは私だと信じたかった。

 でも、やっぱり私の予想は残念ながら当たってしまったようだ。


 これはリリスの仕組んだ悪意だ。


 カンカンッ


「今より、世の秩序を乱す魔女に制裁を科す」


「待ってください」


 お母様とお父様以外の全ての人が私を睨む。


「発言をお許しくださいませ。私がいつ、世の秩序を乱したのですか?」


 私は魔法が使える。

 久しぶりで加減がわからないけれど、この手枷と足枷を壊して、逃げることは容易だと思う。なんなら、みんなを眠らせてもいいし、記憶を改ざんしてもいい。でも、私は元魔法少女であり、人間だ。

 だから人の法律に従いたい。


「お姉様、見苦しいから止めて・・・。私は知っているのよ、お姉様が色々混ぜた怪しげなものを畑にまくと、他の作物よりも成長が速くて美味しいお野菜ができるのも、そのお野菜は虫が近づかないことをっ!!」


(うーん。どこから突っ込もうかしら?)


「それは、肥料です。火山灰を使うと野菜がよく育つのを発見したので使ってみたんです。虫が寄ってこないのは、虫が嫌いなハーブを液体状にしたからです」


 私はお化けが嫌いだ。

 なぜ、ってよくわからないからだ。

 だから、リリスの言葉を聞いて、よくわからないから、私や私の行動を恐れる人の気持ちもわかる。


(ちゃんと説明すれば・・・)


「私は、食べ物に魔法を使っていません」


 私はしっかりと裁判官やみんなの目を見て、説明した。



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