第4話

これが三年生の教科書か。本来ならテンはもうすぐ四年生も終わり五年生になる筈なのに。

だけどそんな事は気にしない事にした。この間までは字も読めず何も解らなかったテンだったのだから。

教科書を手に取って開いてみると、どの本も知らない事ばかりだ。

漢字も算術も難しそうだ。でもいつかはこれが全部解る日が来るのだ。

早く勉強したい!

そうだ、袋のお爺さんの言う通りしっかり見る事から始めよう!

テンは真剣な眼差しで、一枚目、二枚目と教科書を開き一心に目で追って行った。

今は解らないけれど、とにかく目を大きく見開いてどんな事が書かれているかを見る事が大事だ。

その様子を少し開けた扉から見ている人がいた。その人の後ろには神父様もいて、二人はテンの様子を見て目を合わせて微笑んでいる。

やがて二人は入って来た。

「こんにちは、天子天水君。」

声を掛けたのは、その見知らぬ男の人だった。

神父様よりかなり若い男の人だった。

テンは振り返って二人を見ると、びっくりして立ち上がってお辞儀をした。

男の人は、「君の名前はずっと前から知っているんだヨ。神父様から聞くよりもずっと前からネ。」と言ったので、テンは不思議そうな顔をした。

すると神父様が、

「テン、この方は本当の学校の先生ですヨ。」と言った。

「テンが行く筈だった小学校の本当の先生をしていらっしゃるんですヨ。しかも今は四年生を受け持っておられます。山田政幸先生です。」と言った。

テンは驚いて緊張してしまった。

山田先生と言われた人が、

「君の名前はネ。出席簿にのっているんだヨ。しかも天子という苗字は一番最初に書いてあるんだ。最初の入学式の頃から、学校でも先生達の間でどうして来ないのか噂になっていたんだヨ。僕の耳に聞こえて来たのは、君が勉強や学校が大嫌いで、学校に行くのを嫌がりブラブラ遊んでばかりいるという話だった。

保護者の吉本さんも本当に困りきっているという事だった。大抵の人はその話を信じている様子だ。

学校からも幾度か校長や教頭が様子を見に行った事があるが、君はボロボロの服を着て、様子も吉本さんの言う通りに見えたそうだヨ。こんな話を君にするのは残酷で僕も嫌なんだがネ。」と悲しそうな顔をした後、心を決めたように、

「これは僕の目と耳でしっかり確認しておきたい事だ。確認してもいいかい?」

そう真剣に聞かれてテンは頷いた。

「君の名前は?」

「天子天水です。」

「ここに自分の名前を書けるかい?」

テンは天子天水と正確に読みやすい字を書いた。

「君の生年月日を言えるかい?」

「明治三十五年二月四日です。」

「君は学校に行きたくないと一度でも誰かに言った事はあるかい?」

「いいえ。そんな事言った事はありません。僕に学校の話をした事も、行きたいかどうか聞いた人もいません。」

テンははっきり答えた。

神父様と先生は思わず目を見合わせて何かを確認したようだった。

「君は学校に行きたいと思っていたの?」

「はい。ずっとずっと皆のように学校に行きたいと思っていました。」

「神父様の所で勉強して、勉強は好きになったかい?それとも難しくてもうしたくないと思ったかい?」

「勉強はだんだん難しくなりました。でも勉強がしたいです。たくさん勉強してたくさん本を読みたいです。」

テンははっきりと答えた。

二人は何度もうんうんと頷いていた。

「天子君。君はすぐにも学校へ行きたいかい?君はついこの間一年生の勉強から始めて、二年生の勉強が終わったばかりだ。君と同い年の子供達は四年生の勉強を終わってもうじき五年生になる。

君は三年生と四年生の二年間の分が遅れている事になる。今すぐ皆と同じ教室に入って一緒に勉強しても解らない事ばかりだろう。

それでもいい。早く学校へ行きたいという覚悟があるなら、僕は校長に掛け合って君を五年生から学校へ通わす事が出来る。

言っておくけど、その時、僕は君の担任ではない。ここは二年ずつ受け持ちが変わるんだ。一年と二年、三年と四年、五年と六年という具合にネ。

移動がある場合は別だが、新年度の五年生つまり今の四年生が五年生になる時には、きっと別の先生が受け持つ事になるだろう。どの先生も一生懸命だが、事情の知らない先生には君という子供は今まで学校嫌いで学校を拒否した出来の悪い子供にうつるかも知れない。」

テンは山田先生の話をじっと聞いていた。暫らく沈黙が続いた。

かなりの時間、三人は黙っていた。

神父様と山田賛成はテンの気持ちを尊重してどうしたいのかを待っていたのかも知れない。

やがてテンが勇気を振り絞って話し出した。

「僕は学校に行きたいですが、今すぐには行かない方がいいと思います。今行ったらやっぱり馬鹿だ阿保だと言われるだけです。もっともっと勉強して皆と同じくらいになって皆より字も算術も出来るようになってから学校に行った方が良いと思います。

今の僕では無理です。悔しいけれど無理です。

それに今までどこかで隠れて勉強している事が知れたり、僕に味方している事が知れたら、神父様にも山田先生にもきっと迷惑がかかります。僕はいい人達が困った事になるのが恐いです。今はまだ、このまま誰にも知られないで勉強していたいです。」と言った。

二人はテンの言葉を聞き心を打たれたようだった。

山田先生が、「僕達は君の複雑な事情を詳しくは知らないけれど、誰かが君が字も読めない、書けない、計算も出来ない、阿保でいる事を望んでいる誰かがいるという事だけは解る。こうしている今も僕は怒りで腹が煮えくり返っている。

僕も神父様も君の力になりたいと思っているが、僕は公平な立場の教師だから表立った事は出来ないが、一週間に一度くらいはここに来て君の勉強の進み具合を見てやれると思う。また、毎日やる練習問題や試験問題をガリ板で刷った物を神父様に渡しておくから、それを繰り返しやっておくと自然に力がつくだろうと思う。

僕が来た

時、解らない事があったらどんな所が解らないかを一緒に勉強しよう。

君の事は少なくとも僕と神父様は解っているからネ。君を応援している僕達がいる事を覚えていて欲しい。

いつか君が自分に自信が出来て学校に行きたくなったらいつでも言うんだヨ。

君が出来るだけ辛い目に遭わないように注意してうまい具合に学校に行けるようにしてあげるからネ。

いいネ、安心するんだヨ。君はまだまだ子供だ。

世間の大人のドロドロした醜い思惑等気にしないで、今は目の前の三年生の勉強だけを考えるんだヨ。」

そう話した後、三人で紅茶を飲みお菓子を食べた。

そして三年生の勉強の大事な所を説明してくれた。

「まず漢字をしっかり読み書き出来る事。

算術の計算は今のこの勉強が大事なんだ。しっかり勉強して頭に叩き込んでおかないとそれが基礎だから、後々の計算が解りもするし、まるっきり解らないの分かれ道になるんだ。

時間をかけてもいいからしっかり覚える事。その為には繰り返し繰り返し、いろいろな練習問題をやる事。このようなのをネ。」と言って、山田先生が三年生と四年生用に作った練習問題を閉じた物を見せてくれた。

神父様にそれを渡して、「これを天子君に繰り返しやらせてみて下さい。すると、どれが出来てどこが解らず苦手かが解ります。」と言った。

それから、勉強の他に学校でどんな遊びや運動をしているか。テンの年頃の男の子の間では何が盛んに行われているか等を話してくれた。

唱歌と言ってどんな歌を歌っているか。その薄い本も持って来ていた。

テンが一人ぽっちで過ごしている間に同じ年の子供達がこんなにもいっぱいテンの知らない事を学び、遊びながら覚えている事を知り、テンは少し悲しいような、うらやましいような気持ちになった。

その様子に気付いたのだろう。

「だけれど天子君、君は今までは不運だったけれど、君は幸運な子供でもあるんだヨ。大抵の子供達は恵まれているのが当たり前だから、学校のありがたみや勉強がしたいという君のような気持ちを持つ事は出来ないんだヨ。

君は今まで学校に行きたくても行けなかったから、勉強したい気持ちが大きく育ったんだ。それに今からなら決して遅くない。君の熱意と頭脳ならこの一・二年であっという間に同い年の子に追いついて中学に上る頃には追い越してしまうだろう。

周りの者達がびっくり仰天して腰を抜かすのを見るのも愉快かも知れないヨ。

ああ、僕は燃えて来た。

天子君、僕は君の味方だヨ。どんな悪者が相手でも僕達は味方だヨ。

ああ、何だか闘志が湧いて来た!」

若い山田先生は正義感が強い人のようで、すっかり興奮している。

側で神父様が苦笑している。

テンは何だか解らないが、自分を守って味方してくれる人がまた一人増えて嬉しいと思った。

それからのテンは、一層勉強に励んだ。

教会に行くと、神父様がテンがすぐに勉強が出来るように教材や問題を用意してくれていた。

テンはそれを凄い速さで次から次へ片付けて行った。

解らない所があると、そこは印を付けておいた。

夕方になると工場にブラブラ帰って、残った木屑を集めてきれいにして黙って土蔵に帰った。

夕食はテンの帰る頃には土蔵の前に置かれてあった。

テンはゆっくりと夕飯を食べ、お膳を外に出すとまずゴロリと布団の上に横になった。

そしてふと思った。

この頃は良い事ばかりだ。恐い程だ。

こんなに皆に親切にして貰うなんて、何だか逆に心配になって来る。

この先、それ以上に悲しい事が起きそうな気がして来る程だ。

意地悪い誰かが、今もテンを見ているか解らない。気をつけねばならない。

テンは子供ながらにそう考えた。でも何故だろう?

山田先生の話の様子から、誰かがわざと

テンを読み書きの出来ない馬鹿な阿保にしようと企んでいると。そういう人間がいるのは明らかだ。

その人間はテンにも察しがつくが、だが何故だろう?

だけど今、その悪意ある人間に向かって何か言って戦おうとしても、今のテンでは簡単につぶされてしまうだろう。

まだ子供のテンがいくら叫んでも、あたりに事情を説明しても、誰も味方になってくれる人がいないと思う。こんな力のない子供は相手にされないだろう。

皆、仕返しを恐れて、関わり合いになるのを避けるだろう。

何故だろう?

何故なんだ?

悪い人間の事を考えると、胃がムカムカして悔しくてたまらなくなってくる。

そんな事を考えるのは止そう。

五助爺が言っていたっけ。昔の人質になった若様の話を。

そうだ、これはこやしなんだ。苦しい事、悲しい事、辛い事、悔しい事。

みんな、みんな、こやしなんだ。

僕はこの悔しさをこやしにして一生懸命勉強して何でも解る人になるんだ!

どんな事があったって、誰にも負けない人間になるんだ!

それに今は、いちいち悪者の事を頭に思い浮かべて、イライラ、イジイジ立ち止まっているのは損というものだ。

これからはまず勉強だけを考えて行こう。他の難しい事は、子供の僕にはどうする事も出来ない。とにかく立派な大人になろう。それまでは人に負けないように勉強するんだ!

テンはそう思うと胸が膨らんで張り裂けそうな程だった。

そして、あまりに急激に自分の前に訪れた幸運と、今まで知らなかった悪意に気付いたのとですっかり疲れて、その日はうとうと眠ってしまった。


それを土蔵の窓からそっと覗く者がいた。

もう辺りは薄暗くなっていたので、その者以外誰もいない。

灯りのない土蔵の中で眠っているだろうテンに満足したような悪意のある顔だった。

やがてその者は離れて行った。

そうとも知らず、テンは少しの間ぐっすり眠った後、誰かに呼ばれたような気がして反射的に目を覚ました。

辺りはすっかり夜になり、月の光が窓から差し込んでいる。

短時間だが、眠ったせいか頭の中はすっきりしていた。

これからがテンの本当の時間だ。テンは迷わず傍に置いてある穴の開いた麻袋を頭から被って、あの不思議な世界に入って行った。

その時、外には誰もいなかったが、例え誰かがいても外からは土蔵の中は暗くてよく見えなかったろうし、もしもかろうじて見えたとしても独りぼっちの子供が汚い袋を頭に被ったとしても誰もそう気にも留めなかっただろう。

もちろん悪意のある人間には、これからテンがランプの灯った部屋で、物知りのお爺さんの隣で熱心に勉強をしているなど想像もつかなかったろう。


テンはそれからもお昼前は、工場の掃除や木屑集めをし、昼から夕方までを神父様の所で勉強して過ごした。

神父様が忙しくていない時にも、用意された教材や練習問題で一人勉強して帰って来た。

帰りに夕方、工場にブラリと寄って残りの片付け仕事を終えると勝手に土蔵に帰って来た。

用意された夕食を食べた後、二時間程横になって一眠りする。

すると体の疲れも頭の疲れもとれている。

辺りがすっかり暗くなった頃、目を覚まして袋の世界に入って行く。それが習慣になっていた。

袋の世界では、お爺さんの部屋へ行って勉強するのが常だった。

お爺さんは特別何を教えてくれるわけでもない。ただ机と椅子と灯りを提供してくれるだけで、自分は相も変わらず難しい本を読んでいるだけだったが、テンはそれで満足だった。

教会で勉強した事を復習、予習するだけだが面白いようにズンズン進んで行く。

お爺さんの部屋で二時間程も勉強すると、テンは少しも眠くないのに、

お爺さんは、「もうそろそろお帰り。」と言って、テンを帰すのだった。

テンが素直に袋から出ると、成程、急に眠気が襲って来た。

テンは満足して眠りの世界に入って行った。

以前のように、五助爺の事を思い出して悲しい気持ちになったり、一人ぽっちで話す相手が誰もいないで不安で泣きたくなって眠れないなんていう事はなくなった。

教会へ行けば神父様がいてくれる。

山田先生もテンを応援してくれている。

監督とは話はしていないが、いつもお昼のお握りを倒木の下に隠しておいてくれている。

監督は今でもテンの味方に変わりはない。

そして、そればかりではない。

袋の世界に行けば、テンをいつでも迎えてくれる家族のような人達がいる。

その事がテンを安心させ心を柔らかくしていたに違いない。

テンはその事を深く考えなかったかも知れないが、この頃のテンの目の色は本来、そうであったようにきれいに澄んだ少年らしい目になっていた。

監督はある日、その事に気が付いた。

相変わらずくたびれた服を着ているが、髪の毛も伸び放題の紙を後ろで一つに束ねているせいか、少しもだらしなくは見えず、どこかこざっぱりして、顔の表情も明るく、、それに目の涼し気なのに驚いた。

頭の良さを感じさせる目をしている。

テンは本来こういう子供だったのだ。監督はそう思って嬉しかった。


テンは三年生の勉強を始めて半年も経たないうちに、四年生の勉強に入る事になった。

この頃では、山田先生も学校の帰りにちょくちょく教会に寄って、テンの勉強の進み具合を見て行ってくれているようだった。

それはいつもテンが帰った後だったが、先生はテンの書いたものを見て何かに気が付いたようだった。

ある日テンがいつものように教会の裏口から部屋に入ると、山田先生が来て待っていた。

テンは嬉しくなって、「先生、こんにちは。」と挨拶した。


「天子君、随分頑張ったネ。三年生の勉強は順調にと言うよりも、僕の想像以上に早く終わりそうだ。私が用意した練習問題も全部間違いなく出来ている。

エライゾ!

だけど気が付いた事があるんだ。漢字の事だ。漢字には書き順があるんだヨ。

それは学校に通っていれば先生が黒板に書くのを見て自然に覚えるものだが、ここで一人で勉強をする君の事を考えてやるべきだった。

神父様は外国の方だからネ。あの方は非常に努力家で、この国の字も何でも読み書き出来る方だが、筆順までは気が回らなかったんだろう。

丁度良い機会だから、これからは君に書道、つまり毛筆で漢字を書いて貰う事にする。クラスの子供達の中には小さい頃から書道の先生について書道を習っている子供もいる。

将来、大人になった時、正しく美しい文字を書ける人になって欲しいとの親心だ。」

先生はそこまで言うと慌てたように、

「天子君、君にだって出来る。これから僕が字の書き順を書いた漢字の手本を参考に君の字を見てあげよう。我々日本人にとっては美しい字を書くという事は大事な事だからネ。」

そう言って、風呂敷包みを開いて木の箱を取り出した。

「これは私が子供の頃から使っていた物だから、もう必要が無くなったから君にあげるヨ。筆は新しい物だが、墨、硯などは随分古い物だ。使ってくれるかい?」

先生は硯を出して、それに少し水を入れて墨をすり始めた。

テンをその前に座らせて、墨をする所から書道は始まっているのだから、姿勢を正してよく墨をするようにと教えてくれた。

テンは真剣に墨をすった。すり終わると先生は、黒い敷物を敷いた上に白い半紙をのせて新しい筆の先を固い墨である程度までおろして、、その筆にたっぷりと墨をつけて、

“山”という感じを書いて見せた。

「書道というのは簡単に言うと、こういう事だ。実はそのうち次第に解って来ると思うんだが、この字にはいろいろな字があってとても奥の深いものなんだ。

君達が初めて書く字が楷書と言って、崩さない読みやすい字だ

ちなみに少し崩した字を草書体と言って、大人の人が書くが、それはまだ知らなくていい。」

山田先生は簡単な山や川という字をいくつか実際に書いて見せてくれた。

「この本に書き順が書いてあるだろう?力の入れる所や抜く所も書いてあるだろう?一人で練習する時はこれを参考にして書くんだヨ。

出来るだけ手本のように、手本と同じように書けるようになった時、人はその字をうまいと言うんだヨ。さあ、君も書いてごらん。」

と言って、白い半紙に“山”という字を書かせた。

本当は字は何度も何度も別の紙に練習してからこの白い紙に清書するものだが、天子君、初めの字にしてはなかなか筋がいいネ。これから努力したら、君は書道の方でもかなりな所まで行けるかも知れないヨ。」と山田先生は誉めてくれた。

テンに自信をつけさせようとしているのが解った。

「練習の時はこれで何度も何度も練習するんだ。」と言って、いらなくなった新聞の束を用意してあった。

「いくらでも持って来るから思いっきり練習するんだぞ。」

テンにとっては今までの勉強と違って、書道というのは遊びのように面白かった。

熱心に書いているテンの筆を持つ手をとって、ここはもっと力を入れてとか、ここからは力を抜いてスーッと持って来るとか注意してくれた。

テンは学校に行って勉強を教わっているような気持ちだった。

そして最後には、「なかなか覚えが早いネ。」と誉めてくれる。

テンにはそれが堪らなく嬉しくて励みになった。

終わった後の道具の片付け方も、硯をすっかり洗い、筆も洗って墨を落としておかないと筆を痛めてしまうから大事な事だと教えてくれた。

それが終わると二人で紅茶を飲みながら先生はいろんな話をしてくれた。

先生は一人っ子で小さい時は、お父さんとお母さんが学校の先生をしていたので、お祖母さんと家で留守番をしながら大きくなったこと。

お祖母さんという人はお話をするのがうまくて少しも淋しくなかった事。

字が読めるようになってからは自分の読みたい本をどんどん読むようになったけれど、今でもお祖母さんから聞いた話は頭の中に残っている事。

もうお祖母さんはずっと前に亡くなったけれど、桃太郎や浦島太郎の話を目にするとお祖母さんの事、お祖母さんと過ごした日々の事を思い出す等の話をしてくれた。


「君にはお祖父さんもお祖母さんもいなかったネ。昔話というのは、子供にとって空想力を育てる大事なお話なんだヨ。

舌切り雀とか、かちかち山とかネ。

今度、昔話が沢山のった本を持って来てあげよう。」

そう言って、その日の勉強は終わりにし、先生はテンを送り出してくれた。

その日神父様は忙しいらしく、最後まで顔を見せなかった。

それで山田先生とゆっくり話が出来たという訳だった。

テンは先生の話を聞いている時、袋の中のお婆さんを思い出していたが、あのお婆さんの所に行ってみようと考えていた。今は無性にお婆さんに会ってみたくなった。


その日いつものように夕食を終えて、土蔵の中で一眠りして起きた後、ためらいなく穴の開いた袋を被り、五つの部屋の扉の窓からお婆さんの部屋の窓を探した。

いた!お婆さんがいた!

相変わらず日なたでコックリコックリ居眠りをしている。

テンがトントントンと三度ノックをすると、お婆さんは居眠りから覚めてこっちを見た。

ニッコリ優しそうに笑っている。

二匹の猫達も今起きたばかりのように、グーンと伸びをしてこっちを見た。

少し扉を開けて、「入っていいですか?」と言うと、お婆さんはニコニコして、

「どうぞ、どうぞ、お入りなさい。退屈で居眠りばかりしているんですヨ。お客様は大歓迎ですヨ。」と嬉しそうに迎えてくれた。

テンはまず自己紹介をした。「僕の名前は天子天水と言います。生年月日は…。」と言いかけると、

「明治三十五年二月四日でしょ?二月四日は歴の上では立春。あなたは春が来た!と言って生まれて来たのネ。」ニコニコ笑ってそう言った。

「お婆さんは僕の事を知っているんですか?」

「ええ、ええ。あなたの事は何でも知っていますヨ。生まれた時は少し小さい赤ちゃんでしたが、病気一つしないで育って。まあ、こんなに大きく立派になって嬉しいワ。」と言ってテンを見ている。

テンが、「あなたが僕の本当のお祖母さんなんですか?」と聞くと、

お婆さんは、「ウーン、そこの所は少し違うと思うワ。テンには今はいないけれど、お父さんとお母さんがいるでしょう?そのお父さんのお母さんか、お母さんのお母さんの事をお祖母さんと言うなら違います。

でも、私はテンの事をよーく知っているテンの心の中のお婆さんである事は確かですヨ。」と言った。

何だか解るようで解らないが、テンは、“そうですか”」と言うしかなかった。


「お婆さん、今日僕は教会で山田先生という先生に書道を教えていただきました。」と言うと、

「あら、そう!それは良かった事。書道は大事ですヨ。ずっと続けていれば字もきれいになるし、精神を落ち着けてする事ですから集中力を養う事にも繋がりますからネ。書道はずっと続けるべきですヨ。」と言った。

「お婆さんも書道を習った事があるんですか?」

「習うも何も、私は長い間ずっと子供達や大人の方にも書道を教えて来たんですヨ。さすがにこの年になるとお弟子さんをとるのが億劫になって辞めてしまいましたがネ。

今はこうして日なたでのんびり居眠りが出来るようになりました。

本当に今は極楽、極楽です。」と言った。

テンは心の中でこの幸運を喜んでいた。

「お婆さん、のんびりしている所を言いづらいんですが、僕に書道を教えてくれませんか?」

テンは恐る恐る言ってみた。

「あら?テンが習いたいのなら、喜んで教えてあげますヨ。実は本当の所、少し退屈していたのヨ。」と言うと、早速立ち上がって日なたから奥の方へ行って、道具を持って戻って来た。

二匹の猫達はその様子をジーッと見ている。

テンが、「この猫可愛いですネ。」

「そうでしょう?」

「名前は何ていうの?」

「テン、あなたがつけても構いませんヨ。」と言った。

二匹の猫はどんな名前を付けてくれるかと期待を込めた目でテンを見つめている。

年上に見える猫は、背全体が黒と灰色の混じったキジ白という種類の猫だとお婆さんが言った。

鼻の中心から喉、腹にかけて真白で足も白い靴下を履いているように見える。

鼻の先と手足の肉球はきれいな桃色で、目はきれいな薄い緑色をしている。

きれいな猫だ。尻尾も短くて、先がカギの形に曲がっている。全体にふんわり丸い猫だった。テンはその猫の目をじっと見た。本当に美しい目をしている。

猫もテンの中の心を覗くようにじっと見ている。

テンはすぐにひらめいた。

「この子は“夢”にしよう!最近覚えたばかりの漢字で僕が好きな字だ。」

「そう?それはいい名前ね。良かったこと。」

“夢”と名前がつけられた猫は、メーと変わった鳴き声をした。

もう一匹を見ると、少しほっそりして尻尾が長い猫だ。全体が茶色で白い部分がなくて鼻の先も肉球も碁石のように黒い。目の色は緑ではなくて薄い茶色をしている。“夢”程きれいな猫ではないが、何か心細そうな心配そうな目で見ているのがいかにも気持ちの優しそうな可愛い猫だ。

「この子は妹のようだから“小夢”だ。」と言うと、

「あら、それは粋ないい名前をいただいた事。小夢ちゃん良かったわネ。」とお婆さんが言うと、小夢は気に入ったのか、ツルルルルーと変わった鳴き声をした。

気の弱い優しい小夢らしい鳴き声だと思った。嬉しいといっているのが解った。

するとお婆さんが、「実はもう一匹いるのヨ。いつもどこかに行っちゃって心配かけるんだけど、あら、またどこかにお出掛けネ。」

そう言ったのを聞きつけたように、日なたの外の方から音もなく小さな猫が入って来て、テンに気付くと、ジーッと見ている。

小夢とよく似たキジトラだが、体は一番小さいのに目はいかにも賢そうなキラリとした大きな目をしてテンをじっと見ている。

テンは、「君はちっちゃくて可愛いいネ。かわいいチビだから、“ちびちゃん”でいいかい?」と言った。

小さな猫は何も言わずテンをじっと見ている。まだ良い名前はないの?とでも言いたそうな目をしている。

「それならチビタンコの“タンコ”はどうだい?君にぴったりだ。」と言った。

「まあ、何てぴったりの可愛い名前だこと。良かったわネ。“タンコ”」と言った。

するとタンコは、きれいな高い、よく伸びる声で、ニャーーー、オーーーンと鳴いた。

素晴らしく美しい声をテンに披露した。どうやら気に入ってくれたらしい。

テンはとてもいい気持になった。

お婆さんは優しいし、書道も教えて貰えるし、三匹の猫達もテンの付けた名前を気に入ってくれたようだ。

何よりもここはすごーく気持ちがよくて落ち着く場所だ。

この日なたで猫達と一緒にコロリと横になって眠っていたいぐらいだ。

お婆さんは今日習った所をもう一度おさらいしなさいと言って、テンに墨をする所からさせた。

お婆さんは書道は姿勢を正す事が大事だと何度も言う。

「書道の時だけでなく、姿勢はその人の本質をも表すのですヨ。背筋をピンと伸ばしている人はその人の心までピンとしていると見てとれます。

背中を丸めてだらしなくしている人は、本人がどんなにきちんとしているつもりでも、はたからはそうは見えません。きちんとした人に見られたいなら、いつも姿勢をピンと正す事です。

墨をする時も、筆を持って字を書く時も、これが一番大事な事ですからネ。」と言う。

そのピシッとした言い方は、あのいつも猫達と居眠りをしているお婆さんとは思えない程、違って見える。

テンは真剣に姿勢を正して墨をすり、字を書く時も力を入れる所、抜く所、はねる所、止める所、一生懸命に書いた。

お婆さんはいちいち誉めたり注意したりの言葉はなかったけれど、終始、テンの書道に取り組む気持ちを見つめているようだった。

でも習字の時間が終わると、途端にまた、元の優しいお婆さんに戻った。

自分も日なたの座布団に座ると背中を丸めて、まるで猫のお婆ちゃんになったように可愛いお婆ちゃんに見えた。

テンは心安くなって甘えたい気持ちになった。

「お婆ちゃん?昔話を知っている?」

「ああ、知っているヨ。」

「沢山知っている?」

「ああ、沢山知っているヨ。」

「じゃあ、桃太郎の話ってどんなお話?」

こうしているとまるで生まれた時からいる本当のお婆ちゃんのような気がして来る。

「“桃太郎”ネー、テンには初めてかネー。小さい頃に話して聞かせた事があった気がするけれど、でも覚えていないのも仕方ないネー。それはこういう話だヨ。

昔々ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました…。」


お話を語るお婆さんの声が子守歌のように優しく懐かしくて、テンの耳から頭の中に聞こえて来ます。

あっ、このお話聞いた事がある!ずっとずっと遠い記憶の中に確かに聞いた事のあるお話だ!誰が話してくれたんだろう。

ああ、懐かしいナー。僕、このお話知っているんだった。

そう思いながらいつの間にかうとうと眠っていた。

昔話の中の気持ちのいい景色がいつの間にかテンのいる日なたの場所と一緒になって、何とも言えないほのぼのとした世界の中で、テンはいつの間にか眠っていたらしい。


「さあ、テン起きなさい。そろそろ目を覚ましてお帰り。」と優しいお婆さんの声がして、テンは驚いて目を覚ました。

「今日はこれでおしまい。テンにはまた大事な明日があるのだからネ。今日は帰ってぐっすり眠りなさい。そしてまた来たくなったらいつでも来なさい。猫達もテンを待っているからネ。」

見ると三匹の夢、小夢、タンコは横一列に並んで、メー、ツルルルルー、ニャオ~ンと口々にお別れを言ってくれた。

テンは扉を閉めた後、麻袋を脱ぐと、眠くて眠くてそのまんま土蔵の中の布団に倒れ込んで心地良い眠りの中に入って行った。


テンはそれから七日のうち五日はお爺さんの所で勉強し、二日はお婆さんの所に行った。

習字を習った後、三匹の猫達と遊んだり、ごろごろした後は決まってお婆さんの昔話を聞いた。

お婆さんはいろんなお話を知っていた。

お話をいくら聞いても飽きるという事はなく、もっともっと聞きたくなった。

そして決まって昔話を聞きながら眠ってしまうのは不思議だった。

お婆さんの昔話を聞きながら、物語の世界を想像してうっとりとした時間を過ごす事がテンにとってどんなに大切な時間だったろう。

一人ぽっちで張りつめていた心があったかくて優しい空間でホンワリと癒されるのがどんなにか大切な事だったろう。

無邪気な寝顔のテンの傍には同じく無邪気な三匹の猫達がいる。

テンにとってこの時間はどんなに大事なものだったろう。

時間が来るとお婆さんはテンを優しく起こしてくれる。

さあ帰って自分の場所でぐっすり眠るんですヨと起こしてくれる。だからテンはお婆さんの部屋では書道を終えると猫とゴロゴロ遊んでそのまんま眠ってしまっても安心だった。テンは寝ぼけまなこで辺りを見回すと、三匹の猫達の気持ち良さそうに眠る姿が目に入る。テンはその三匹の猫達を一匹ずつ撫でてやる。

猫達の気持ち良さそうなゴロゴロという音で喜んでいるのが解る。

どの猫もよく寝た!という風にあくびをしてグーンと伸びをしてから撫でられる。

三匹共同じような動きをするので、テンは笑った。

「それじゃ帰るからネ。また来ていいかい?」と言うと、三匹の猫はそれぞれ、

「メー、ツルルルルー、ニャオ~ン。」と返事をしてくれる。

テンは満足した気持ちで袋を脱ぎ、現実の世界に戻って来る。

そしてそのまま、自分の布団に倒れて深い眠りに入って行くのだった。


こうしてまた一年はまたたく間に過ぎようとしていた。

テンと同い年の子供達はもうじき六年生になろうとしていた。

けれどテンも四年生の勉強も終わり、五年生の勉強もかなり進んでいたのだ。

これならやっと負いつけそうな所まで来ていた。


テンの勉強の進み具合を見る為にたまに教会に来てくれる山田先生は、テンの学力に驚いている。

この力では六年生から一緒に勉強しても他の生徒に遅れをとる事はないだろうと、時々それとなくテンの気持ちを聞く。

だけどテンは迷っている。

どうしても六年生から、皆のなかに入って行く勇気が出て来ないのだ。

あんなに学校へ行きたいと思っていたのに。


今日は神父様も一緒だ。

テンと山田先生と神父様の三人で、テンが学校に行く時期を真剣に考えなければならない日だった。

山田先生が、「実は天子天水君の事は校長に話してあります。校長は心のある立派な人格者ですが、この問題は本人の為にも慎重に進めなければならないと言っておられます。この春に六年生から学校に行くか。それとももう一年待って来年中学へ進む時に、本当に新しい気持ちで学校に入学するのがいいのか。

本人の気持ちを大事にしながら、この先、周りの人達との摩擦を出来るだけ少なくして、本人が良い状態で勉強できるようにしなければならないと言っておられます。

三人共、思い思いにテンが学校に通い始めた後の事を想像してみた。

六年生からテンが学校に通い始めたら、子供達も驚き、その親達の間にも衝撃が走る事は想像がつく。

それでは中学校入学からにしてはどうか。もちろん多少ザワザワするだろうが、小学校とは違う、校舎もかなり離れており、全く別の学校なので、親も子も新しいスタートに向けて自分の事で緊張していて精一杯だろう。

テンに対する関心も随分和らぐと想像される。そんなに甘いものではないが、どちらが良いかと言えば中学校からの方が良いと思える。

何よりテンにとって更にこれから一年待つというのは長いが、これからの一年の間にテンは更に学力をつけ心も体も成長して強くなっているだろう。

先生も神父様もそう考えながらも、早く学校という所に行きたいと思っていたテンの気持ちを考えた。

神父様がまず口を開いた。

「テンの気持ちはどうですか?今すぐ学校に行きたいですか?それとも、もう一年我慢してここで勉強しますか?

一年は長いですけれど、待つ事は出来ますか?今のテンの学力では十分に六年生になる事が出来ますヨ。」

山田先生は頷きながら何も言わない。テンは自分の気持ちはどうだろうかと自分で自分の心を決めかねていた。

学校には一年生の時から行きたかった。今も早く行きたい。

でも自分が今、教室に入って行ったらどうだろうか?周りの子供達の目が一斉に自分に注がれた時、自分はどうしているだろうか?

まだ恐い、まだ無理のような気がする。

テンは何度も迷ったが、「もう一年待ちます。もう一年たくさん、たくさん勉強して誰にも負けない程勉強して、自信をつけてから中学校へ進みたいと思います。」

テンは自分でそう決めた。

先生も神父様もホッとしたような表情を見せた。

二人共、中学校の入学の時に行動を起こす方がテンの為だと考えていたのだろう。

山田先生が話し出した。

「それでは、これからも六年生の勉強をここで引き続きする事になります。それと一緒に中学に入ったら、外国語の勉強も始まりますから。

幸い、ここには神父様という外国の方がおられる。テンは今日からでも明日からでも少しずつその時の為に外国語を教えて貰った方がいいと思う。

ここまで君は成長したのだから、どうせならこれからはただ、他の皆と一緒に仲良く中学生になるというだけでなく、その先の高等学校や大学、やがては自分が将来何になりたいのか、どんな大人になりたいかも考えて貰いたいと思う。

テン、君はこれからいろんな可能性を持っているんだヨ。どうせなら大きな夢を持って欲しい。

今からなら大学はここの国で一番の大学も目指せるんだ。その大学に行くにはそれ相当の高等学校に入らなければならない。

そうだナ。ここからならそこの大学をねらうなら“剣菱第一高”だろう。

そして、そこをねらうなら、中学では常に上位三番以内に入っていなければならない。

テン、どうだ!頑張ってみないか?僕は君の事は自分の事のように思ってるんだ。

君を虐げて来た奴にどんな事をされたって負けはしないという所を見せてやりたいんだヨ。さっき神父様は待つ一年は長いとおっしゃったが、待つ一年ではなく先を目指すための一年にして欲しい。

そう考えると一年は決して長くはないヨ。むしろ、あっという間に過ぎるだろうと思う。

天子天水君、私は君に夢を見ているのかも知れないが、君には是非、この国一番の大学を目指して欲しい。

そして将来、困難にもめげず苦労しながら戦い抜いて、立派になった人として誰からも仰がれる人になって欲しい。

君には出来る!絶対出来ると思う!

君はその時、君を無理矢理押し込めて学校にもやらずに文盲にしようとした者に向かって決して負けなかった事を見せつけるべきなんだ!」

山田先生はそう言って言葉をつまらせた。先生の目には涙が光っていた。


年が変わってやがて四月になったが、テンはそれからも今までと同じように勉強をつづけた。

教会では六年生の勉強をしていた。自分と同じ年齢の子供達が今、同じ勉強をしているかと思うと不思議な気持ちだったが、いつの間にか多くの漢字をを覚えて今は本を読むのが楽しくて仕方がない。

教会に置いてある本を次から次と読むのが楽しみになっていた。

本の中には外国の話も随分出て来る。世界にはいろんな国があり、いろんな暮らしがある事も知った。

テンは次第に、いつか必ず外国に行ってみたいという気持ちを持つようになった。

その時には外国語が話せなければ駄目だと思うと、神父様が教えて下さる外国語の勉強にも自然身が入った。

テンには知りたい事が山程あった。

自分がいるこの国の歴史、この国を作って来た偉い人達の事。

それを書いた本。何でも知りたいと思った。

山田先生はおっしゃった。

将来、外国に行きたいのなら、まず自分の国の事をよく知っておかなければならないと。

外国へ行って自分の国の事を聞かれた時に、何も答えられないのでは恥ずかしい気持ちになるだろうと。

まず自分の国の文化を知る事。

文化?テンには今は難しいように思えるが、親や祖父母がいれば自然に何となく教わる事でもテンには誰もいない。

きっとこの国の古い事全般を指すのかも知れない。

何でも勉強しよう。何でも見てみよう。何でも身につけよう。

一年はあっという間だ。テンは気持ちを新たに勉強を始めた。

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